今年残念だった皆さんへ

 

なごです。

 
先日は1次試験お疲れ様でした。今はどんな心境でしょうか。合格した人もいれば、不合格だった方も見えるでしょう、仕事が忙しくて思うように勉強が進まず、試験会場にも行けなかった、そんな方も見えるかもしれません。

 

今日は1次通過が叶わなかった皆さんへ、私の体験も含めながらメッセージを書いてみました。

 

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2年前の10月、私は書き終えた答案用紙を呆然と眺めながら、試験時間中にもかかわらず、失意の時間を過ごしていました。すでに敗退は濃厚。自分で自分の文章がいけていないことは分かっていました。かすかな希望を持ちつつ試験結果を待つも、当然ながら不合格。私の勉強仲間も多くが撃沈し、診断士試験のハードルの高さを改めて感じていました。自分自身に自信が持てず、そのあと翌2月までの3か月間、診断士の勉強が全く手につかなかったことを昨日のことのように思い出します。
しかも勉強を再開した2月、3月ですら、新しい勉強道具は使わず、一年前の問題集を使っていました。理由は実際に自分が落ちた時の問題に触れないようにしたかったから。自分自身を意図的に試験不合格という現実から遠ざけていた、そんな心理状況が続いていました。

 

でも試験に落ちたからこそ、これまで出来なかったことを精いっぱいやろう、そう心に誓っていたことも事実です。7科目ある1次試験や様々な記述が必要となる2次試験など、幅広い分野の知識が必要とされる診断士試験と言われますが、実際の試験直前期は、試験対策に手いっぱいで、正直、学びの視野がとても狭まるもの。私も勉強をしながら視野の狭い自分に嫌悪感を抱いていたこともありました。
そのため意図的に試験勉強を中止し、自分の視野を強制的に広げる行動をしたのです

 

まず世の中を徹底的にマーケティングや運営管理の視点で見るようにしました。私のセミナーに来た人は知っているかもしれませんが、コンビニエンスストアの棚に並ぶ商品陳列の配置方法って、ものすごく考えられた配列をしているのですよね。スターバックスとドトールが提供する顧客サービスの違いって、そもそも自社の存在意義というか、企業が存在するための定義から違うため全く違って当たり前なんですよね。

そんな風に物販や飲食を中心に、様々な世の中の動きを徹底的にマーケティング視点で見るようにしました。自分なりに仮説を立てながら「メインの顧客像は…」「商品力だけでなく、どんなシチュエーションだから売れているのか…」「他社との差別化要因は…」なんて考えながら、目につくもの全てを参考書として、生活をしていました。

 

また、これまでゆっくり読むことのできなかった新聞や本なども読みました。ありきたりな話で恐縮ですが、「ザ・ゴール」や「スモールビジネス・マーケティング」、「7つの習慣」などは何度も読み返しました。またグロービスが出している「MBAマネジメントブック」「MBA組織と人材マネジメント」などの書籍も読み、予備校教材としてではない、別視点からのマーケティングや人材管理的な本を読み漁りました。
また多くの経営者の本も読みつつ、ノウハウとは違う「経営者の想い」的な本にも触れ、自分自身が「なぜ中小企業診断を目指そうとしたのか」という本質的な部分について、自問自答を繰り返したりもしました。
これらの行動は結果的に、自分の中で目指すべき目標を改めて明確にすることに役立ったほか、ビジネスマンとしての器、というとおこがましいですが、弱々しかった自分の根底にある「ヒトとしての幹」を太くすることができたと感じています。

 

 

さて私の体験談はそのくらいにして、今後の皆さんの行動について考えてみたいと思います。
今、皆さんはこれまで思いっきり勉強をしてきたことで、二つの財産を手に入れています。

 

一つ目の財産は「知識」
これまで学んできたことは全て社会人にとって、また来年合格するであろう診断士にとって大変重要な知識ばかりです。財務や企業経営理論はもとより、経済は世の中を俯瞰するベーシックな考え方として、法務は問題点を冷静に分析する素地として、また中小は企業を取り巻く環境を知る手掛かりとして、どの教科も大切な財産となるはずです。

 

 

二つ目は「学びを得るための体力」
これまで多くの時間を学びに費やしてきました。数年前なら、テキストを開くだけで眠たくなっていたのが、じっくりと腰を据えて学べるようになってきてはいませんか。それは学びに対する基礎体力が向上し、勉強する体質、学びに対する耐久性がきちんと醸成されたのです。

 

 

この二つの財産を簡単に手放してしまうのは大変もったいない。それほど貴重なものだし、そのために多くの努力を皆さんは重ねてきたはずです。
特に私が貴重だと感じているのが「学びを得るための体力」。知識は少しくらい時間が空いてもまた読めば思い出しますが、学びの「体力」は一度楽をすると、筋力が落ちるのと一緒で、元へ戻すのは非常に苦労します。

 

私は試験不合格の後、本当に勉強したくなかった。テキストを全く見たくなかった。触りたくもなかった。もし皆さんも同じ境遇なら、少し距離を置くのも必要なことかもしれません。むしろ無理に勉強を再スタートをし、ダラダラ勉強をするのが一番いけないことかもしれません。
私は診断士の勉強が本当に嫌でしたが、学びの「体力」だけは落としたくなかったため、本や一般社会での学びに重点を置いて行動することで結果的に自分自身の学びに対する基礎体力を「現状維持」することは出来たと思っています。そして2月になり、勉強の嫌悪感が晴れたと自分自身で割り切れてから、猛烈な一歩目を踏み出すことができたと考えています。

 

残念ながら1次試験で思うような結果を残せなかった方々、しばし勉強から離れることについて、私はそれほど問題がないと思っています。でも、これまで学んできた「体力」を落とさなようにだけは気を付けながら、学びにかける「熱意」をもう一度醸成してみてください。そして自分の心の中で整理がついた段階で、勉強に戻ってきてくれれば充分良いと思います。むしろ他を見ることで、自分自身の人間の幅を広くして、診断士試験のフィールドに戻ってきてくれれば、立派な診断士になれる土壌が構築されたと考えています。

 

診断士に合格すると分かるのですが、合格者は極めて“多彩”で“多才”です。財務面や人事面、生産管理面など多くの特技を持った人たちの集団です。そんな中に入ってから、自分の未熟さにあたふたするのではなく、「自分自身の強みを今のうちから磨くんだ」と意識し、学びとともに自分が持つ特技を磨き、そして視野も広げてもらえればと思います。

 

そして数か月、自分自身の枠を広げた後、1次試験の学びに戻ってきてくれればと思います。またその時には2次の勉強も一緒に始めましょうね。今頃ストレートの人たちはだいぶ苦労しているはず。だったら今のうちから勉強を始めておき、来年8月にはある程度完成させておく、そんな学びの「中期計画」を立ててみませんか。

 

 

皆さんのこれからの過ごし方で未来が変わる。

 

 

そんな想いを幾ばくかでも持ってもらえれば幸いです。

なごでした。
 

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今年残念だった皆さんへ”へ2件のコメント

  1. なご より:

    わっきぃさん
    初のコメントありがとうございます。文章を拝見し、わっきぃさんがこれまで真剣に努力されていたことが節々に感じられました。
    この試験は合格することがゴールでは無いと思います。学びを活かして自分の目標を達成することが一つの到達地点であるとするならば、本を読み見聞を広げ、身の回りの様々なことに対して自分なりの仮説検証をしてみる。そんなちょっとした意識の持ちようで人は大きく成長します。
    これまで走り続けてきたことは決して無駄ではありません。むしろすでに大きく自分を成長させているはず。合格後、多くの人に出会うようになって、私も改めて自分の成長を実感しています。
    素直な読書したいという気持ち、それはわっきぃさんの身体がこれからも学びを欲しているということですよね。今はいろいろなことに取り組み、自分自身をさらに成長させてあげてくださいね。
    そしてまた、このフィールドに戻って来てくださいね。

  2. わっきぃ より:

    いつも拝見させていただいております。
    一発道場に初めてコメントさせていただきます。
    わっきぃと申します。
    この度の1次試験の自己採点にて
    1マーク分(4点)足りず、
    失意の中、この記事を読ませていただきました。
    取るもの手に付かず、仕事に対しても
    モチベーションが上がらず、
    このままではいけない、と思いつつも、
    勉強から逃げている様な状態です。
    自己採点の結果を報告した後、家族に
    「試験勉強から開放された今、なにがしたい?」
    と言われた時、素直に口から出てきた言葉は
    「読書」でした。
    「自分の視野を強制的に広げる行動」を
    わたしもやってみようと思います。
    とても大きな気づきを与えていただきました。
    ありがとうございます。

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