10分でわかるMM理論

みなさんこんにちは、おとです。

1次試験まであと50日ですね。先日は、おはともさんから、気合いの入った記事がありました。まさにその通りだとおもいます。

私の場合は、もし今年の試験に落ちて、勉強漬けのこの生活をもう一年続けるなんて考えたくも無かったので、「絶対今年で受かるんだ」という気持ちでいました。

合格したい気持ちは、人それぞれで、みんな違います。理由は何であれ、合格を目指して残りの50日を悔いの無いように使い切ってください。

さて、今回は苦手な人が多いと言われるファイナンスのMM理論についてです。人によってはMM理論はステ問という人もいます。でも財務・会計の問題は例年25問あり、1問あたり4点です。また昨年(H26年)は、MM理論で2問(8点)も出題されており、これをステ問にするのは、ちょっともったいないです。

また、このMM理論は、ノーベル経済学賞を受賞しています。ノーベル賞理論を10分で説明するのは、無理がありますので、試験対策上重要な点だけ説明します。

本来であれば、MM理論についてきちんと理解した方がいいのですが、残念ながら直前期なので時間がありません。そのため、理解ではなく、下の2つを丸暗記してください。

①MM理論=税金なし
②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。

これらの理由を説明するとノーベル賞をもらえちゃうので説明はしません(笑)。繰り返しますが、このまま丸暗記しちゃってください。

 

 

 

過去問

それではいつものように過去問を使って説明します。

過去問 H20 18
MM理論を説明している記述として、最も適切なものの組み合わせを解答群から選べ。なお、文中の企業価値は負債の価値と自己資本の価値の合計額を意味する。

a 法人税がないと仮定したとき、企業価値は資本構成と無関係である。
b 法人税がないと仮定したとき、企業価値は負債の利用度が高まるほど高まる。
c 法人税が存在する場合、企業価値は資本構成と無関係である。
d 法人税が存在する場合、企業価値は負債の利用度が高まるほど高まる。


[解答群]
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

【正解】

[難易度B]

【解説】
MM理論の重要な点は↓の2つと言いました。

①MM理論=税金なし
②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。

この2つの知識だけあれば、この問題は解けます。順番に見てみましょう。

a 法人税がないと仮定したとき、企業価値は資本構成と無関係である。
法人税がないということは、”①MM理論=税金なし“なので、MM理論であるということになります。また、資本構成というのは、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成ということなので、”②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。”のように、資本構成比が変わっても、企業価値は変わらないことになります。
よって、これは適切です。
⇒◯ 


b 法人税がないと仮定したとき、企業価値は負債の利用度が高まるほど高まる。
これも法人税が無いのでMM理論です。負債の利用度が高まるということは、負債が増えて資本の構成比が変わるっていう事です。”②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。”といいました。この設問では「MM理論のとき構成比がかわると企業価値が高まる」と逆のことを言っているので不適切です。
⇒X


c 法人税が存在する場合、企業価値は資本構成と無関係である。
法人税が存在する場合ということは、MM理論では無いということです。企業価値と資本構成が無関係なのは税金がないMM理論のときだけです。そのため、ここで言っている、「税金がある(MM理論ではない)ときは、企業価値は資本構成と無関係である」は、逆のことを言っているので不適切です。
⇒X


d 法人税が存在する場合、企業価値は負債の利用度が高まるほど高まる。
ここまでで、×(バツ)が2つでたので、消去法ではこれが◯(マル)になるはずですが、念のため確認しましょう。ここでも法人税が存在する場合と言っています。つまり、MM理論では無いということです。税金がある場合は、負債には節税効果(※)があり、その分だけ企業価値が高まります。よってこの選択肢は適切です。
⇒◯


(※)節税効果まで説明すると、10分で終わらないので、詳しく知りたい方は、↓を参考にしてください。


MBA経営辞書「節税効果」http://globis.jp/mba/1117/
上記より、適切な選択肢はaとdになるので、正解はエです。

いかがだったでしょうか?
繰り返しますが、もう時間がないので、MM理論だけに勉強時間を費やす時間はありません。そのため↓の内容を丸暗記して下さい。

 

①MM理論=税金なし
②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。

 

 

上記の問題は知識問題でしたが、次はMM理論の計算問題です。

早速始めます。

 

過去問 H26 15
現在A社は、全額自己資本で資金調達しており、その時価は10,000 万円である。A社は毎期600 万円の営業利益をあげており、この営業利益はフリー・キャッシュフローに等しい。MM理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。

(設問1)
A社が利子率2%の借入を行うことによって2,000万円の自己株式を買入消却し、負債対自己資本比率を20:80に変化させたとき、A社の自己資本利益率は何%になるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税は存在しないものとする。
ア 7%
イ 8%
ウ 22%
エ 24%




【正解】

[難易度C]

【解説】
ここでもMM理論という言葉がでてきています。MM理論が成り立つということは、”①MM理論=税金なし“なので、税金がないということです。次に、2%の借り入れを行うと、A社の損益計算書(P/L)はどう変わるでしょう?
今の営業利益(600 万円)に支払利息(2%)が費用としてかかってきます。
計算すると次のようになります。

 

営業利益 600
支払利息 -40(2,000万円×2%)
———————————————–
利益   560

(※)ここでは税金がないので、税金はかかりません。

 

次に、貸借対照表(B/S)はどう変わるでしょう。「2,000万円の自己株式を買入消却し」ということは、株主資本(エクイティー)から2,000万円分が負債(デット)に変わるということです。計算すると次のようになります。

株主資本(エクイティー)    10,000
自己株式買入消却       -2,000
————————————————————–
買入後の株主資本(エクイティー) 8,000

 

自己資本利益率
=利益÷株主資本
=560÷8,000
=0.07
=7%

 

上記より正解はアになります。





(設問2)
(設問1)のようにA社が資本構成を変化させたとき、法人税が存在する場合、資本構成変化後のA社の企業価値はいくらになるか。最も適切なものを選べ。
ただし、法人税率は40%とする。
ア  9,960万円
イ 10,000万円
ウ 10,040万円
エ 10,800万円

 

【正解】

[難易度B]


【解説】
法人税が存在するということは、MM理論ではないということです。「MM理論でないときに資本構成を変えると、企業価値も変わる」ってことはこれまで何度もやりました。
今回は計算問題なので、いくら変わるかを計算する必要があります。結論からいうと、負債を増やすことによって得られる企業価値の変化は節税効果といきは、下の公式になります。
負債額×税率=節税効果
(※)丸暗記はあまり好きではないですが、直前期で時間がないので、ここでも丸暗記しちゃって下さい。今回は2,000万円の負債を増やしたので、2,000万円×40%=800万円だけ、節税効果がありました。この節税効果の分だけ、企業価値があがることになります。
また、もともとの企業価値は、問題文から10,000 万円であることが分かります。
つまり、資本構成変化後の企業価値は

もともとの企業価値  10,000万円
節税効果         800万円
—————————————————-
合計         10,800万円

上記より、正解はエとなります。

 

まとめ

MM理論は、なかなか理解しづらいとおもいますが、ほぼ毎年出題されている頻出論点です。
繰り返しになりますが、直前期なので、なんでこうなるの?などと考えずに、このまま丸暗記しちゃってください。

①MM理論=税金なし
②MM理論の時は、負債(デット)と株主資本(エクイティー)の構成比が変わっても、企業価値は変わらない。
③負債額×税率=節税効果

以上、おとでした。

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