【経済学】 6.マクロ経済学知識問題

 

こんにちは、 Xレイ です。
今回は、マクロ経済学知識問題です。
昨年(平成26年度)でいうと問6~問12ですが、正答率は低いはずです。時間的制約からこれら領域まで手が回らない、といったところだと思います。
直前期対策シリーズということで、簡潔にみていきます。

1.経済成長
2.投資理論
3.その他

 

1.経済成長

【出題~H26問12 H25問12 H24問11 H23問9 H22問20 H19問10】

経済成長を分析する成長会計、また、経済成長の理論として“新古典派の経済成長モデル”と“内生的成長モデル”。
これらを併せると、ここ5年は毎年の出題です。
成長会計ならまだいいですが、他はかなり厄介です。

(1)成長会計

$\frac{ΔY}{Y}=\frac{ΔA}{A}+α\frac{ΔK}{K}+(1-α)\frac{ΔL}{L}$

$\frac{ΔY}{Y}$
:GDP成長率  $\frac{ΔA}{A}$:TFP成長率 
$\frac{ΔK}{K}$
:資本の成長率 $\frac{ΔL}{L}$:労働の成長率
$α$:資本所得の割合 $(1-α)$:労働所得の割合

過去の出題レベルなら、細かなところは解らなくても大丈夫です。

成長会計とは
『GDP成長率は、TFP成長率・資本の成長率・労働の成長率に依存する』
言い換えると、
『経済成長は、技術の進歩・資本の蓄積・労働力の拡大に依存する』
というもの。
例えば日本の数値を調べてみると、TFP成長率以外は「国民経済計算」や「労働力調査」等から知ることができる。
一つ残ったTFP成長率は計算でわかり、それはソロー残差と呼ばれている。

このくらいでどうでしょう。

 

(2)新古典派の経済成長モデル(ソローモデル)

平成25年問11がこのモデルの一部分です。
関数の問題化して得点した方も多いでしょうが、これは難しいと思います。

全くの個人的見解ですが

①生産関数は、規模に関して収穫一定、資本の限界生産力逓減、と仮定している
②資本ストックには定常状態水準が存在する(経済は長期均衡する)
③持続的な成長は技術の進歩のみによって説明できる

この辺りかと。

 

※追記 平成27年8月21日

平成27年問11で、平成25年問11と全く同じグラフが出題されました。
今後のため、そのグラフについて若干説明を加えておきます。
おそらく、過去問題集ではあまり解説されないと思いますので・・・

まず、設問で想定している生産関数が
$Y=F(K,N)$ というマクロ生産関数です。
この生産関数が規模に関して収穫一定と仮定すると
任意の$λ$($λ$>0)に対して $λY=F(λK,λN)$ が成り立ちます。
そこで $λ=1/N$ とおくと $Y/N=F(K/N,1)$
$Y/N$は1労働者当りの生産量を
$K/N$は1労働者当たりの資本量を表しています。
それらを $Y/N=y$、$K/N=k$ と置き換えて
$y=F(k,1)$
さらに生産関数は2次元となっているので $F(k,1)=f(k)$ として
$y=f(k)$ ・・・①
この①が、平成25年問11の4行目(平成27年問11の5行目)の式で、
そこまででこんな感じです。

先のように、1労働者当たりの資本量$k=K/N$から
$Δk/k=ΔK/K-ΔN/N$  ・・・②
が近似的に成り立ちます(証明は省略)。
この $Δk/k$ は、$k$の成長率を表しています。

一方、投資を$I$とすると、それは資本ストックの増加分$ΔK$に等しいので
$I=ΔK$ ・・・③
次に、貯蓄を$S$、貯蓄率を$s$とすると
$S=sY$ ・・・④
財市場が均衡していれば
$S=I$ が成り立つので、③、④より
$ΔK=sY$ ・・・⑤

②式の右辺第1項 $ΔK/K$ に⑤を代入すると
$ΔK/K=sY/K$
さらに、分子、分母とも$N$で割って
$sy/k$ と、1労働者当りで表します。
さらに①式より
$sy/k=sf(k)/k$
よって右辺第1項は
$sf(k)/k$ ・・・⑥

また、②式の右辺第2項$ΔN/N$は労働成長率$n$のことで
$ΔN/N=n$ ・・・⑦

⑥、⑦から②式は $Δk/k=sf(k)/k-n$ となり、その両辺に$k$をかけると
$Δk=sf(k)-nk$ ・・・⑧

この⑧式は、1労働者当りの資本ストックの増加量$Δk$は、共に$k$の関数である$sf(k)$と$nk$によって決まる、ということを表しています。
そこで、$sf(k)$と$nk$、そして①式も併せて描いたのが、設問のグラフです。

はい、やっぱりこれ難しいんです。

 

(3)内生的成長モデル

平成23年問9で足早に説明してますが、これも難しいと思います。
同様に個人的見解で

①生産関数は、資本の限界生産力一定、と仮定している
②それにより、技術進歩がなくても永続的に成長することを示せる

この2つが、(2)ソローモデル と大きく異なるところなので。

 

2.投資理論

【出題~H26年問7 H25年問12 H22年問4】

(1)ケインズ型投資理論

利子率<投資の限界効率 のとき、投資を行う

投資の限界効率とは『投資における利益率』。
それが利子率より高ければ、投資をした方が良いということになります。

 

(2)加速度原理

①生産量の増加分に比例して、投資を行う
②資本係数は一定 資本ストックの調整速度=1 と仮定

資本ストックを$N$、生産量を$Y$、資本係数を$\nu$(定数)とすると
$N/Y={\nu}$  両辺に$Y$をかけて $N={\nu}Y$
投資$I$は資本ストックの増加量に等しいので
$I={\Delta}N={\nu}{\Delta}Y$ となり
“投資$I$は生産量の増加分${\Delta}Y$に比例する”

というのが加速度原理です。

また、資本の調整速度=1 とは
${\Delta}Y$を、例えば1年間の生産量の増分とすると、それに対して必要な投資$I$(=資本ストックの増加分${\Delta}N$)も1年間で達成される、
ということです。

 

(3)トービンのq

トービンのqが1を上回るとき、投資を行う

『株式市場』に着目をしています。
トービンのqとは、
『企業の評価額(株式の時価総額+負債総額)』を
『資本の再取得価額』で割った値。

平成25年問12が解れば大丈夫なはずです。

 

(4)新古典派の投資理論

平成26年問7の選択肢イ、ウで出てきましたが、これは難しいと思います。
またまた、個人的見解で

①資本の限界生産物価値 > 資本の使用者費用 のとき投資をする
②資本の使用者費用は、実質利子率・減価償却率に依存する
③生産要素間の代替(労働と資本の代替)を認めている(資本係数が可変)

この辺りかと。

 

3.その他

その他、『ほぼ暗記』というところでは

①国民経済計算
【出題~H23年問1 H22年問17 H21年問1 H20年問1】
(統計のグラフ問題は除く)
平成23年問1~GDPとGNP(GNI)の関係
平成22年問17~産業連関表
平成21年問1~付加価値
平成20年問1~三面等価の原則

②マネーストック マネタリーベース

【出題~H26年問9 H24年問8 H23年問4 H21年問6】

・マネーストックの構成(M1、M2、M3)
・マネタリーベースの増加・減少(買いオペ 売りオペ)
・信用乗数とは

この①、②の領域は、しっかりとおさえておいた方が良いかもしれません。

 

今回は、以上です。
それでは、また。  Xレイ

 

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