【経済学】 4.グラフ対策part3

 

こんにちは、 Xレイ です。
今日は、経済学のグラフ対策part3
マクロ経済学のグラフ問題をみていきます。

1.45度線分析
2.IS-LM分析
3.マンデルフレミングモデル
4.AD-AS分析

まずは、財市場の均衡をみる45度線分析。
その財市場と貨幣市場との均衡から国民所得と利子率を考えるIS-LM分析。
さらには、海外部門を組み入れてマンデルフレミングモデル。
いずれも物価水準を一定とした、短期的な観点からの分析です。
これらケインズ経済学に基づいた分析は、互いに関連強くなっています。

そして、その物価水準の変動を考えたAD-AS分析。
ここでは、労働市場も関わってきます。

 

1.45度線分析

【出題~H26問4 H25問3,4 H24問7 H23問6 H22問5 H21問4】

グラフ問題としては過去8年で2回(平成26年問4、平成21年問4)ですが、財市場関連の数式・計算問題を含めると、このところ毎年の出題です。
グラフ問題では、そのグラフの形状や変化について問われていますが、
式が与えられているので、それほど難しくはありません。
計算が必要な問題の方が、時間的な観点から厄介でしょう。

①均衡国民所得
②乗数効果・乗数
③インフレギャップ デフレギャップ

まずは①。

総供給Ys: $Ys=Y$
総需要Yd: $Yd=c(Y-T)+C0+I+G$
のとき
均衡国民所得Y: $Y=\frac{1}{1-c}(-cT+C0+I+G)$

この単純なケースを『すぐに導き出せる、かつ、覚えている』ことが
理想でしょうか。
新たな項目が加わっても同様の手順でスムーズに導出ができ、
単純なケースならば導出を省きより短時間で、ということです。
もし、必要なときがきたならば・・・ですが。

次に②。ここはしっかりと。
例えば政府支出を増やしたとき、その額以上に国民所得は増えるというのが乗数効果、そして、その上乗せされる比率が乗数

以下、c:限界消費性向 t:所得税率 m:限界輸入性向 として
上の①で扱った単純なパターンでは
政府支出乗数他:$\frac{1}{1-c}$ 租税乗数:$\frac{c}{1-c}$

平成26年問4の $\frac{1}{1-c(1-t)}$ と
平成23年問6の $\frac{1}{1-c+m}$ は少々複雑です(共に租税乗数なら分子はc)

要するに、国民所得に依存する項目が増えると複雑になっていくのですが、
上の2つを併せた $\frac{1}{1-c(1-t)+m}$ が最も複雑なパターンでしょうか。

これらは、設問で与えられる条件からその場で導き出せますが、時間をロスしてしまいます。
一度はすべて自力で導き出した上で、覚えておく方が話は早いでしょう。

また、特殊なケースとして『均衡予算のとき、政府支出の乗数は1』。
これも覚えておきます。

以上の①、②をおさえて、平成23年問6のような計算問題を解くのですが、例えばその問題では、選択肢ア.の均衡GDPは計算しません。
②の乗数をマスターしてれば、選択肢イ、ウの計算の方が明らかに速く、そこで答えが解ります。(選択肢エは計算以前です)
大半の問題が同様に、時間のかかる均衡GDPの計算はしなくてもいいようにできています。(例外~平成22年問5の単純なケースのみ)
ポイントは『乗数を使って効率よく』計算することです。

最後に③。


財市場の話をしているのに、突然労働市場の均衡が・・・
と言ってくるのでわかりづらいのですが、要するに
働きたい労働者全員が働いてつくれる財の供給量』と
実際に国全体で消費したい財の需要量』が同じとは限らない。
その供給量需要量の差のことを、各々ギャップといいますよ、
ということです。

上図では、財市場を均衡させる国民所得がY0
完全雇用を実現したときの国民所得がY’です。
左図・右図各々Y’のときの総供給総需要の差がそれぞれ
インフレギャップデフレギャップです

つまり、これはグラフでみると縦軸の値の差のことです。
平成25年問3では、この辺りの間違いも誘っています。

 

2.IS-LM分析

【出題~H26問4 H24問9 H22問6 H21問8 H20問6 H19問5】

グラフを示したり、数式にしてみたり、文章だけのときもあり、バラエティに富んだ設定をしてきます。
いつも同じようなことが問われてはいるのですが、基本的な事項を基にして少々考えて答える必要があります。

①IS曲線、LM曲線の傾きの変化と曲線のシフト
②クラウディングアウト
③流動性のわな

まずは、①。
これは、各々解りやすい方法が一番です。
以下に一例ですが

各曲線を数式で表すと

IS曲線 : $i=-\frac{1-c}{b}Y+\frac{-cT+C0+I+G}{b}$
LM曲線 : $i=\frac{a}{b}Y+\frac{d}{b}-\frac{M}{bP}$

例えばこのような感じに表せます。
ここから変化が問われるところだけを残して、

偽IS曲線 : $i=-\frac{1-c}{b}Y+(-T+G)$
(c:限界消費性向 b:投資の利子率弾力性 T:租税 G:政府支出)
偽LM曲線 : $i=\frac{a}{b}Y-\frac{M}{P}$
(a:貨幣需要の所得弾力性 b:貨幣需要の利子率弾力性 M:貨幣供給 P:物価水準)

上図はLM曲線のY切片が負であるなどおかしいのですが、
傾きやシフトの変化の把握に特化させたものと受け止めて下さい。

また、IS-LM分析に関しては物価水準は一定で考えるため、LMのY切片の分母Pの変化が問われることはないはずです。
そこで、Pも省いてしまって構わないのですが、AD曲線を考えるときに必要なため残してあります。

そして例えば、IS曲線で
・c:限界消費性向が減少→傾きの分子が大きく→傾きが急
・G:政府支出が増加→Y切片が大きく→IS曲線は右移動(上移動)
一方、LM曲線で
・b:貨幣の利子率弾力性の上昇→傾きの分母が大きく→傾きが緩く
・M:貨幣供給が増加→Y切片が小さく→LM曲線は右移動(下移動)

このような感じですが、符号には十分注意します。(特にLMのY切片)
あとは必要に応じて、2曲線の交点から所得と利子率の変化をみます。

といいますか、シフトに関しては
拡張的な政策=右シフト
〔拡張的な政策~政府支出増(IS)・減税(IS)・貨幣供給増(LM)〕
あとは、傾きだけです。

次に②、クラウディングアウト

政府支出の増加→利子率が上がる→民間投資が減る

このような現象のことですが、結果、財政政策の効果は弱まります。
設問では、この発生の有無や影響の大小を問われます。

政府支出が増加しても、クラウディングアウトが発生しないということは
(1)利子率が上がらない
(2)利子率が上がっても投資が減らない
のどちらかということになります。

それは、グラフ上で
(1)LM曲線が水平
(2)IS曲線が垂直
のときに実現します。

その逆の変化に進むほど、クラウディングアウトの影響は大きくなります。

最後に③、流動性のわな
利子率が極端に低い場合、貨幣と比較してリスクが高く流動性の低い(交換しづらい)債権など誰も持ちません、というようなことです。
そのときの特徴は

・LM曲線は水平(貨幣の利子率弾力性=∞)
・金融政策効果なし

平成23年問7が解れば問題ありません。

 

3.マンデルフレミングモデル

【出題~H23問8 H22問8 H20問9】

過去の出題においては、『政策の効果ある・なしの結論』を覚えておくといった程度の対応では、選択肢を絞ることはできても、正答を導くまでには至りません。
『出題されたときには得点を』と考えるならば、なぜそうなるのかを知っておかなければいけません。

さて、マンデルフレミングモデルは、IS-LMモデルの開放経済版です。
そのため、IS曲線に『純輸出(=輸出-輸入)』項目が加わっています。


まず、『小国モデル・資本移動が完全』という仮定があります。
これにより、例えば政策によって自国の利子率が上がったとしても、海外から資本が流入し、すぐに元の水準(海外と同水準)に戻されてしまいます。
つまり、常に『自国の利子率=海外の利子率』となるわけです。
グラフでいうと、ISとLMの交点は常に水平のBP上に決まるということです。

その利子率を戻す資本の動きは、他に何に影響を与えるのでしょうか?
それは、為替です。
そこに着目をしていきます。

それではみていきましょう。(政策は拡張的政策、為替は円で表現)

(1)財政政策→IS右シフト→利子率上昇
(2)金融政策→LM右シフト→利子率低下

ここまではIS-LM分析です。
その閉鎖経済モデルでは、ここで国民所得が増加して終わりです。

しかし、このとき自国と海外との間に資本移動が生じると

(1)財政政策→IS右シフト→利子率上昇→資本流入→円高圧力
(2)金融政策→LM右シフト→利子率低下→資本流出→円安圧力

となっていきます。
この最後の為替に対する圧力が分岐点です。
各々の相場システムは、この圧力に対して正反対の結果を生み出します。

まずは変動相場

(1)財政政策→IS右シフト→利子率上昇→資本流入→円高圧力
→実際に円高→純輸出減少→IS左シフト効果なし
(2)金融政策→LM右シフト→利子率低下→資本流出→円安圧力
→実際に円安→純輸出増加→IS右シフト効果あり

変動相場制では、実際に為替の変動が起こるため、
純輸出が変化してIS曲線がシフトします。
そして、前述のようにISとLMの交点は水平のBP上に落ち着きます。

そして固定相場

(1)財政政策→IS右シフト→利子率上昇→資本流入→円高圧力
→為替介入(円売り)→貨幣供給増加→LM右シフト効果あり
(2)金融政策→LM右シフト→利子率低下→資本流出→円安圧力
→為替介入(円買い)→貨幣供給減少→LM左シフト効果なし

固定相場制では、為替の変動は起こりません。というよりも
変動させないため、為替介入を行いLM曲線がシフトします。
もちろん同様に、ISとLMの交点は水平のBP上に落ち着きます。

このような変化ですが、グラフをイメージしながら考えると、より解りやすいのではないでしょうか。(PDF

ちなみに『資本移動が全く無いケース』は、おそらく出ないでしょう。

 

4.AD-AS分析

【出題~H20問10】

ここから出題されると、難易度が高くなるはずです。
平成20年問10のように、曲線の形状やシフトを問われただけでも簡単だったかどうか。出題も少なく対策に迷うところです。

個人的には、時間があるならばここを通じて『労働市場』を知っておくのがよろしいのでは、と考えています。
時間がないならば、あえてここは・・・

 

今回は、以上です。
それでは、また。  Xレイ

 

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