【渾身】財務・会計 税効果会計

みなさん、こんにちは。myaです

 

先週より引き続きの 【渾身】シリーズ

メンバーの熱のこもった記事がつづいていて、読んでいる私も元気をもらっております
私は財務・会計担当ということで、今回は基礎的論点ではあるものの、「避けて通りたい!」と考える方が多いであろう、「税効果会計」について書きたいと思います。

 

税効果会計は 基礎的論点の一つですが、苦手な方が多い論点の一つでもあると思います。私も大分悩まされましたが、その原因はズバリややこしいから

 

減算・加算、資産・負債等、出てくる言葉が一般的なイメージとズレていると感じる方は私だけではないはずです。モヤモヤっとしたまま問題にぶち当たると解けなくて、さらに食わず嫌いになっていく…というループからこれを機会に抜け出しましょう!
 

 

税効果会計とは?
まずは税効果会計の定義を確認しましょう。TACの解説等を参考にすると

税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(「法人税額等」)の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続である。

とのこと。

 

これを私なりに日本語訳すると…

企業会計上「利益」法人税を計算する基礎となる「所得」は計算方法が違うので、B/SとP/Lのつながりの中で、企業会計上の資産・負債の額と法人税を計算するための税務会計上の資産・負債の額が違う場合があります。
そんなとき、企業会計上の立場から法人税等の金額をうまく期間配分し、それを分かりやすく表示する(手段)ことで、企業会計上の「税引前当期純利益」と法人税計算用の「所得」とを一致させる(効果)ことで、投資家のみなさまに分かりやすい決算書とします。

となります。

ここで重要な考え方は、

会計上の利益(当期純利益)と法人税等を計算するための基礎となる所得は違う!

ということです

 

税効果会計上の差異について
税効果会計はこのように企業会計上の利益と税務会計上の所得のズレ(差異)を埋めるためにありますが、その差異は次のように分類することが出来ます。

 

永久差異と一時差異
永久差異:税効果会計の対象外

企業会計上の費用と税務会計上の損金で考え方そのものが違うズレ(差異)の事で、永久にそのズレが埋まらないもの。

 

税効果会計の定義にもありましたが、「税金(「法人税額等」)の額を適切に期間配分する」ことが目的の税効果会計。

 

永久に「利益と所得のズレ」が解消しないものは期間配分しようがありませんので、対象外です。
たとえば交際費は、企業会計上いくらまででも費用として計上できますが、税務会計上はその上限額が政策的に決まっています(平成26年の税制改正時には一つの大きなトピックとして扱われました)。このようなズレは埋まることはないため、対象外です

永久差異の具体例:

寄付金や交際費の損金算入限度額超過
受取配当金の益金不算入額

 

一時差異:税効果会計の対象
企業会計と税務会計の認識のタイミングが違うことで一時的に企業会計と税務会計にズレ(差異)が出てしまった場合、そのズレを企業会計が税務会計に一時的に合わせてあげることが可能なもの

「会計上費用に計上したが、税務上損金算入が認められなかった不良在庫の評価損」があった場合、「不良在庫の認識時点では損金算入が認められなかったが、その不良在庫を廃棄した時点で損金として計上される」というようなズレがある場合に適用されます。

一時差異の具体例:

棚卸資産評価損(税務上費用とならない評価損)
貸倒引当金の繰入限度額超過
減価償却費の損金算入限度額超過

この一時差異がまたややこしいので、ここから一時差異について、ちょっと詳しく見ていきます。

 

減算・加算、資産・負債 ~ボックス図で考える~
一時差異は、将来減算一時差異将来加算一時差異に分かれます。この二つの「企業会計と税務会計のズレ」は、それが解消されるときに備えて繰延税金資産又は繰延税金負債としてB/Sに計上することになります。ここがかなり厄介なのですが、私はB/SとP/Lを合体した図で考えることでミスを防いでいました。

 

将来減算一時差異の場合
将来減算一時差異は、認識時点の違いにより会計上の費用>税務上の損金というズレが一時的に発生した状態を指します。

この場合、税務上の損金に算入できなかった会計上の費用の分だけ、税務上の所得が増加することになるため、会計上の利益<税務上の所得となります(収入が同じなら、会計上の費用>税務上の損金だから当たり前ですね)。
つまり会計の立場から見ると、

会計上では費用やのに、今期に税務上の損金にならんかったから、税引前当期純利益の額と税務上の課税所得が一致してないやん!

予想より多く納めることになった税金は納めるけど、それに合わせて会計上の税引前当期純利益がブレると海外の投資家さんたちから分かりにくいって怒られるん

だから税引前当期純利益は変えれやんから、今回は利益大きいままで、法人税を先払いしたってことで、よろぴく。

将来、今回の費用が税務上の損金に認められた時、税務上所得が少なくなるから、今回先払いした分の税金は差し引くからね!」

ということですね。まさに、天真爛漫!

 

で、この会計上の費用と税務上の損金の差額分先払いした税金を将来の法人税等から減算するときのために、どこかにとっておかなきゃ!

ということで、P/Lから出してとっておける場所は、そう、B/Sです

 

そして「先払いしたもの」は・・・資産計上ですよね。
つまり将来減算一時差異は「繰延税金資産」として計上されるということです

 

myaの文章が下手やから覚えられーん!という方は、

「将来の税金が安くなるものだから資産計上」

と覚えていただいても結構ですし、

「P/Lの借方(左側)にあるものをB/Sの貸方(右側)に持っていくと左右バランスしなくなってしまう」
と覚えていただくのも、シンプルで良いかもしれません。

 

私は試験中考えるのが嫌だったので、今までの関係を表すためにB/SとP/Lを合体した次の図を用いて覚えていました。

もちろんこれは次の将来加算一時差異でも使えます!

 

将来加算一時差異
将来減算一時差異は、認識時点の違いにより会計上の費用<税務上の損金というズレが一時的に発生した状態を指します。
この場合、会計上の費用を税務上の損金が上回った分だけ、税務上の所得が減少することになるため、会計上の利益>税務上の所得となります(収入が同じかつ税務上の損金>会計上の費用のため)。

つまり会計の立場から見ると、

会計上はまだ費用じゃないと思ってたのに、税務上はもう損金になるの?ほな、その分の税金はとりあえずまだ払わんでもええってことやね?(ラッキー)。

でも税引前当期純利益の額と税務上の課税所得が一致しやんことになるねー。

いずれきっちり税金は納めるけど、それに合わせて会計上の税引前当期純利益がブレると海外の投資家さんたちから分かりにくいって怒られるん

だから税引前当期純利益は変えれやんから、今回は利益は少ないままで、法人税を未払いとして先送りにしたってことで、よろぴく。

将来、今回の損金を会計上でも費用に計上した時、会計上利益が大きくなるから、そのとき今回未払いの分の税金は支払うことにするよ!」

 

で、この会計上の利益と税務上の所得の差額分未払いとなっている税金を、将来の法人税等に加算するときのために、どこかにとっておかなきゃ!ということで、またまたB/Sが登場します。
こちらも「未払い」になっているものですから・・・計上は「負債」ですよね。
つまり将来加算一時差異は「繰延税金負債」として計上されるということです。

重箱の隅
ただし貸倒引当金には注意が必要!
よく問題になる例は、

貸倒引当金が増加したが、損金算入限度額超過 → 会計上の費用>税務上の費用 → 将来減算一時差異 → 繰延税金資産

と問題ありませんが、

連結会社相互の債権・債務を消去したため、連結財務諸表において貸倒引当金が減少した場合
連結財務諸表で貸倒引当金が減少しても、個別財務諸表ではそのまま残っている → 連結財務諸表の貸倒引当金<個別財務諸表の貸倒引当金 → 会計上の費用<税務上の損金 → 将来加算一時差異 → 繰延税金負債

というかなり論理展開の厳しい問題も出題されています(平成23年度第8問)。

 

まずはきっちり基礎を固め、選択肢を絞れる体制を作れるよう着実に自分の弱点をつぶしていきましょう!

myaでした。

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●参加費:500円
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<セミナー終了後の懇親会は、2本立て!>

皆様にご参加いただきやすいよう、懇親会を2部構成にいたしました。

参加は任意です。どちらかでも、両方への参加でも大歓迎です。

 

●16:30~ 第1部 ティータイム懇親会

会場近くの喫茶店にて、皆さんの質問に道場メンバが答えます。

質問や相談を個別にしたい方、他の受験生との交流を深めたい方、ぜひご参加ください。

※参加費無料。ご自身の注文いただいたお茶代だけお支払いいただきます。

 

●18:00~ 第2部 居酒屋懇親会

腰を据えてじっくりとお話したい方はぜひ。

お酒を囲む場だからこそ、なかなか表の場では聞けないとっておきの話が飛び出すことも多くあります。

前回の東京セミナーでも、有益な情報を収集している受験生の姿が印象的でした。

※参加費は3500円程度を予定しています。

 

お申込みはこちらから

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【渾身】財務・会計 税効果会計”へ5件のコメント

  1. deco より:

    こばさん、
    コメントありがとうございます。
    試験に何が出るかは受験生の力が及ばぬところですよね。
    自分の力が及ぶ範囲でもがこうと思いますので、税効果会計含めて勉強していきます。
    お気持ちをシェアいただき、ありがとうございます!

  2. deco より:

    myaさん、

    とってもわかりやすい税効果会計の説明、ありがとうございます!
    スピ問で税効果会計とは、はてな、となっていたのですが、社長さんの会話を声に出して読んでストンと落ちました。そして問題も解けました。
    ありがとうございます!

    1. こば より:

      deco様
      コメントありがとうございます。

      税効果会計は昨年に未出題の分野ですが、
      頻出論点になっています。

      制度会計の分野を深堀るとかなりの労力が必要になります。他の頻出論点の理解度と相談しながら勉強を進めて頂きたいと思います。

      私自身、この分野をかなり勉強したのですが、
      昨年の問題では出題されないという苦い経験があります。

  3. mya より:

    匿名様

    いつも一発合格道場をお読みいただきありがとうございます!

    そしてご指摘ありがとうございます。
    こちらはまさしく私のミスでございますので、修正させていただきます。

    今後とも一発合格道場をよろしくお願いいたします。

  4. 匿名 より:

    >>
    連結財務諸表で貸倒引当金が減少しても、個別財務諸表ではそのまま残っている → 連結財務諸表の貸倒引当金<個別財務諸表の貸倒引当金 → 会計上の費用<税務上の損金 → 将来加算一時差異 → 繰延税金資産

    連結修正仕訳のことを言ってるの?
    それなら最後は繰延税金負債では?

    × 会計上の費用<税務上の損金 → 将来加算一時差異 → 繰延税金資産

    ○ 連結会計上の費用<個別会計上の費用 → 連結上の費用に修正(つまり損金算入益金不算入) → 将来加算一時差異 → 繰延税金負債

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