中小企業診断士とは何か?

【私が診断士を目指した理由】

「和尚、もう俺ダメだわ、店続けられへん・・・」

知人のパン屋の主人(といっても30代)からそんな内容の電話をもらったのは2011年のちょうど今ごろの時期だった。

「いや、そんなこと言わんと、。。。」

といろんな解決策を提案した、だが金の面の話ばかりしかできない自分・・・。ある意味その提案は正しいのだが、すでに彼は万策尽きていたのだった。

「今となっては、全部やりつくした。もう今月末にはここ(お店)を出てかなあかん、いろいろ努力してもらったけど、もう力尽きたわ」

もう4年前のことになるので、電話を受けて話した内容なのか、そのあと店で聞いた話なのかどうかか今となっては記憶も定かではないが、お店は奥さんがレジに立ってて客もそこそこ入っていて、当然なにも事情を知らない客は嬉しそうに美味しそうなパンを吟味している。

彼は「パンを焼くこと」に関して非常に誇りを持っており、近所では評判のパン屋だった、駅前でも立ち売りをしたり、そんな究極の販売努力もするくらい、パンにかける熱情は大きかった。ただ、売れ残りも多く何らかの改善の余地はあるように思えた。

この夫婦には私が紫雲和尚としてこっそりやってた地元コミFM番組に、この3ヶ月前ゲストとして出てもらってた。自分で言うのもなんだけど、結構トガッた番組でギャラも出ないが自分の会社や店の宣伝はし放題、というルールで地元の経営者に30分ほどしゃべってもらってた。

(ついでに言えば、滑舌もよろしくないこのおっさんがしゃべることについて、局サイドはよろしく思ってなかったが、私がボランティアでコスト0、スポンサーもコアなファンもついているこの収益をかせぐ番組にはしばらく口出しできなかった模様)

私も、地元のためになれば、と思い、やみくもに宣伝をすればよい、という知識しかなったゆえ、これで売り上げ増えるかも!、とたかをくくっていたフシがあるのだが、

この事実にはうちひしがれた。

そして、ひっそりとそのパン屋は閉店となり、いつしかこの夫婦とは連絡が疎遠になった。

確かに、カネの面でのアドバイスは必要だし、最終的にはそれが会社の血液となるゆえ、カネさえ回れば企業は存続し続けることが出来る。

が、しかし そのカネを生むアイデアやスキームがなければ、また生産量の決定ロジックなどをもとに廃棄率などを極小化するような方策をとれなければ、カネを生む源泉がないのと同じ、机上の空論ではないか。 その真実に相当ショックを受け、カネだけにしか焦点を向けられない自分を恥じた、と同時にマーケティングやらドメインなどのロジック、生産管理、いや経営全般について論理的に習得したいと強烈に思った。。。

もしかしたら、そういう全般的な知識があれば、この3ヶ月のうちにパン屋さんの販売、生産量の調整もうまくいったかもしれない、そういう後悔の念があった。

私が、中小企業診断士を目指した理由の原点のひとつはここにあると思います。

【このブログを書くにあたって】

さて。2015年1月、約1年半強の勉強の後、私は診断士試験に合格しました。

そして、名古屋まで出張してきた道場5代目のスカウトマンにスカウトされました。

この資格を取ったならば中小企業を支援するってのが王道だと思ってたから、
「そういえば、受験生を導く役割や世界もあるのよねー」
っというのが素直な感想だったです。

だから、このブログからスカウト受けたときも
「受験生支援て、1次2回、2次1回しか経験のない、ポッと出の私に語れることは財務くらいしかないよな」
なんてこと思っていました。

いや、どうしても試験受かりたくてネット検索かけまくって、このブログをはじめ受験サイトを自分の力で探すってことは、それこそ中小企業診断士になる人間にとっては「情報収集」というスキルのひとつであり、 どうしても診断士なりたいやつは這い上がってこい! みたいな‥熱血スポ根漫画(もうこれって死語ですか?)みたいのを感じてて、それこそ受験する人が自主的にやればよい、と思っていました。

でも、このブログにお世話になったし、それに対して恩返ししないのは人としてどうなの?的な理由が一番の執筆動機です。

ただ、このブログを読んでいる皆さんに対して「恩返し」という動機だけでは、弱い。 幸運なことにブログで発言させてもらえる場を頂戴したからには、試験勉強を推進する上でも必要な 「徹底的に考える」(これ、今後和尚は徹底的に申しあげますよ、「徹底的に考える」) ことをせねばならないと思って、私の気持ちとこのブログで発信することの整合性を求め考え抜きました。

【考え抜いたその答え】

中小企業診断士とは何か?

やはり、世の中の社長(自営業者含む)さんに、自身の持つ知識、スキルを伝え、うまく経営をまわせるように支援するのが、いや、もっとディフェンシブに「倒産しないようにすること」が、中小企業診断士の本分である。前段に書いた、パン屋さんももしかしたら、もっと早くにそういう人が身近にいたら助かったかもしれません。

まずその思いがひとつ。

そして、このブログを読んで今年こそ!と思われる方には試験に合格することがゴールではなく、その先にある使命、というものを一度立ち止まって考えてもらいたい、そう思います。

自分が合格した暁には、当然知識が増える。 その知識を、本当に欲している人のために提供できるか?

そういうことが少なからず出来るようになる、というのがこの資格の本質的な醍醐味であり、 人のために役に立つ、ということが究極の自己実現ではないだろうか、と最近そう考えます。中小企業診断士は間違いなく社会の役に立つ資格です。 そう思うことにより、試験勉強も苦しいながらも楽しい、というかやりがいを見いだせる、すなわちモチベーションの維持につながる、と思います。

自己啓発や上っ面の自己実現のためだけにこの資格を目指すのはもったいなさすぎる、もっと先を見据えれば、勉強が辛いときにも乗り越えられる、繰り返しになりますが、そう思います。

そして、もし和尚のワガママが通るのであれば、一番最初のパン屋さんのような方に遭遇したら、
手を差しのべてあげることが使命
と思うような診断士がこのブログから生まれたらいいな、と思っております。もしそうなればこれに勝る喜びはないと思います。

40も越えて、いろいろ理屈っぽくなりました。

既に1回目の記事は書いておりましたが、あまりにも最初からテクニカルな内容でした、かつ2月15日の3215さんの6代目メンバー紹介に恥じぬような最初の記事を書かねばならぬと、急遽差し替えた次第です。

1年間よろしくお願いします。

合掌。

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