財務で60点、事例ⅣでA評価をとるためには?~CVP~

一発道場の読者の皆さま。
この度、この道場の6代目としてブログを担当します、”おと“と申します。
まずは、簡単に自己紹介します。

自己紹介

都内の商社で働いている、アラフォー会社員です。
仕事の専門はリスク管理。40才になる前にこのままではダメだと一念発起して、診断士を目指しました。
受験歴は、
 2012年:1次科目合格
 2013年:1次合格 / 2次敗退
 2014年:1次合格(保険受験) / 2次合格
です。
仕事で財務諸表を毎日見ているので、得意科目は財務会計。
道場には受験生時代からお世話になっており、未合格体験記と合格体験記を投稿しました。
2013年未合格体験記
2014年合格体験記
また、これから1年間のテーマですが、多くの人が苦手としている財務と事例4について、重点的にブログを書きたいと思っています。

 

財務で60点、事例ⅣでA評価をとるためには?

今は2月。TACの日程では、暗記3兄弟の一つである、情報に入っているところですね。昨年に勉強した財務は、すっかりと忘れてしまった人も多いのではないでしょうか?
苦手とする人が多い財務ですが、私の財務に対する基本的な考え方は次の通りです。

 

(1)二次試験合格まで考えたら、簿記よりファイナンスの方が重要。
(2)財務は、暗記でも理解でもなく、解き方を体得することが得点アップのコツ。
(3)財務が苦手はな人でもこのブログを読み続けることで、財務で60点、事例4でA評価をとれるようになってもらいたい。

 

1次試験では年度別だけでなく、出題テーマ別に分かれている過去問が市販されていますね。でも2次試験では年代別はあるものの、出題テーマ別に分かれている過去問はないとおもいます(もし、あったら教えてください)。そのため、2次試験の出題テーマをまとめてみました。

 

最頻出★★★
 経営分析
 損益分岐点(CVP)分析
 キャッシュフロー(CF)
 正味現在価値(NPV)
頻出★★☆
 セールスミックス
 オプション・為替予約
たまに出る★☆☆
 ディシジョンツリー
今後これらの頻出テーマを、すこしづつ解説して行きたいとおもっています。

損益分岐点(Cost Volume Profit)分析

1次試験でほぼ毎年出題され、2次試験でも最重要論点の一つである、損益分岐点(CVP)分析について説明します。まず、過去6年間でどれくらいの頻度で出題されているのかまとめてみます。
<出題実績>
H21 H22 H23 H24 H25 H26
1次試験
第8問
安全余裕率
第9問
損益分岐点
第11問
変動費率
第11問
損益分岐点分析
第8問
安全余裕率
第7問
総資産営業利益率
2次試験
第3問
損益分岐点
第2問
グラフ作成
第3問
損益分岐点
第2問
損益分岐点

 

 

このように、損益分岐点(CVP)分析は、出題頻度が高く、特に2次試験では、3大頻出テーマである、経営分析、キャシュフロー、損益分岐点(CVP)分析の一つとなっています。
今回は、下記の2つに分けて、この最重要論点である、損益分岐点(CVP)分析を説明します。
(1)損益分岐点(CVP)分析の基礎用語
(2)過去問(損益分岐点の計算)

 

(1)損益分岐点(CVP)分析の基礎用語

 

①変動費(Variable Cost)
材料費などの売り上げに応じて増加する費用です。
②固定費(Fixed Cost)
工場の家賃等の売り上げの大小に関係せず固定的に発生する費用です。
③総費用(Cost)
変動費(VC)と固定費(FC)を合計したものが総費用(C)です。これで、すべての費用が分かりましたね。

 

変動費・固定費・費用
④売上高(Sales)
次にこの図に、売上高(S)のグラフを加えます。売上高(S)が少ない時は、売上高(S)より総費用(C)のほうが多いので、損失が発生します。その後、徐々に売上が増加し、ある点を超えたときから、利益(Return)が出るようになります。
⑤損益分岐点売上高(BreakEvenPoint)
この利益(R)が出る点を損益分岐点(BEP)といいます。いわゆる、損益トントンという状態です。

 

売上高(S) 損益分岐点売上高(BEP)
⑥変動費率(α)
最後に変動費率(α)を説明します。段々と覚える用語が増えてきましたが、これが最後なのでついてきてください。
変動費(VC)の角度のところに「変動費率(α)」とあります。これは、売上高(S)に対して、変動費(VC)が一定の割合を保ったまま変化することを表しています。その一定の割合のことを変動費率(α)といいます。

 

変動費率(α)
これを式で表すと
変動費率(α)=変動費(VC) ÷ 売上高(S)
となります。ここまでは大丈夫でしょうか?
これらの6つの用語をきちんと理解していないと、次に進んでも理解できないので、まずこれら用語をきちんと理解してください。

 

変動費(VC) → 売上高(S)によって一定の比率で変化する費用
固定費(FC) → 売上高(S)によって変化しない固定的な費用
総費用(C) → 変動費(VC)+固定費(FC)
売上高(S) → 売上高
損益分岐点売上高(BEP) →利益(R)がゼロの時の売上高(S)
変動費率(α) → 変動費(VC) ÷ 売上高(S) (0<α<1)

 

◆公式◆
これらの用語を使って、実際に出題される損益分岐点(CVP)分析を解くために必要な公式です。なぜ、この公式になるのかを説明することもできますが、長くなってしまうので、今回は省略します。

変動費率(α) = 変動費(VC) ÷ 売上高(S)
損益分岐点売上高(BEP) = 固定費(FC) ÷ (1-変動費(α))

これから、この公式を使って実際に問題を解いてみることにします。

 

(2)過去問(損益分岐点の計算)

財務会計の得点を上げるコツは、基本的な問題を数多く解いて、解き方を体得することです。アウトプットを繰り返すことで、解き方を体得すれば、本試験で出題形式が変化しても対応することができます。それでは、今まで理解した用語と公式をつかって、実際の問題を解いてみましょう。

 

【問題】
H22年第9問(改題)
当期の売上高と費用の内訳は次のとおりである。損益分岐点売上高を求めよ。
売上高(価格2,000円、数量400個)800千円
変動費320千円
固定費360千円

 

【解答】
損益分岐点(CVP)分析の問題の場合、まずは、変動費率(α)を求めます。
変動費率(α) = 変動費(VC) ÷ 売上高(S)
=320 ÷ 800
=40%
次に、公式に当てはめて、損益分岐点売上高(BEP)を計算します。
損益分岐点売上高(BEP) = 固定費(FC) ÷ (1一変動費(α))
=360 ÷ (1一0.4)
=360 ÷ 0.6
=600
答:600千円

 

大丈夫でしょうか?落ち着いて計算して、ケアレスミスの無いようにしてください。
できた方は、この問題の続きとして、もう一問解いてみてください。

 

【問題】
H22年第9問
当期の売上高と費用の内訳は次のとおりである。他の条件に変化はないものとして、販売価格が1,700円に低下した場合の損益分岐点売上高の変化として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:千円)。

 

売上高(価格2,000円、数量400個)800千円
変動費320千円
固定費360千円
[解答群]
ア-100
イ+80
ウ+100
エ+200

 

【解答】
先ほどの単純な問題とはやや異なりますが、求められていることがきちんと理解できれば、難易度は高くない問題です。問われていることは、

①価格が2,000円の時の損益分岐点売上高(BEP)を求める。

②1,700円の時の損益分岐点売上高(BEP)を求める。

③その差額を求める。
 です。

①価格が2,000円の時の損益分岐点売上高(BEP)を求める。

単価が2,000円の時の損益分岐点は先ほど求めました。
単価が2,000円の時の損益分岐点売上高(BEP)=600千円・・・

 

②1,700円の時の損益分岐点売上高(BEP)を求める。
次に単価が1,700円の時の損益分岐点売上高(BEP)を同じように求めます。

 

*注意*
ここで注意することは、販売単価が変わり、売上高(S)が変わっても、変動費(VC)は320千円で変わらないことです。変動費(VC)なのに変化しないというのは、なんとなく分かりづらい気がしますが、実際のビジネスでいえば、「顧客の要望で販売単価を下げたけど、変動費(VC)である原材料費は変わらない。」という状態です。当然に変動費率が下がってきます。
また、問題中の単位が円と千円の2つの単位が混在しています。単位を間違えてしまうと、最終的な答えも間違えるので、ケアレスミスをしないためにも、単位を揃えて計算することが重要です。今回は千円の単位に揃えます。

 

まずは、先ほど同様に変動費率(α)を求めます。
変動費率(α)=変動費(VC) ÷ 売上高(S)
=320 ÷ 1.7 × 400
=320 ÷ 680
=0.4705・・・

*注意*
一次試験の場合、電卓が使用できないのでほとんどの場合、きれいに割り切れる数字になります。途中の計算で、割りきれなかった場合は、自分の解答が間違っている場合か、計算せずにそのまま計算を続けると最後に割り切れるかのどちらかであることが多いです。ここでは割り切れなかったので無理に計算せず、そのまま「変動費率(α)=320 ÷ 680」で進めます。次に、公式に当てはめて、損益分岐点売上高を計算します。

損益分岐点売上高(BEP) = 固定費(FC) ÷ (1-変動費率(α))
=360 ÷ (1-320 ÷ 680)
=360 ÷ [(680-320) ÷ 680]
=360 ÷ (360 ÷ 680)
=360 × 680 ÷ 360
=680
単価が1,700円の時の損益分岐点売上高(BEP)=680千円・・・

 

③その差額を求める

求めることは、②と①の差額なので、
②680-①600=80・・・
答えはイになります。

落ち着いて計算して、ケアレスミスの無いようにしてください。
ここまでは大丈夫でしょうか?
ここでつまずくと、この先が苦しくなります。もし理解できなかった場合は、もう一度最初に戻って、確認してください。

 

合格を目指す方へのアドバイス

最後に、合格を目指す方へのアドバイスです。

財務の本試験では、60分間で約20問の問題を解くスピードが求められます。平均で1問あたり3分です。本試験の緊張感のなか、間違えずにこれらの問題を解けるようになるために、本紙の冒頭に述べた損益分岐点(CVP)分析などの頻出論点の過去問を繰り返し解き、その出題パターンを体得することが重要です。
さらに、ただ正解することができたというレベルではなく、公式を体得して、使いこなせるというレベルまで到達すれば、きっと合格を勝ち取れます。
合格目指してがんばってください。

 

以上、おとでした。

 

今後、この↑キャラ設定でいきます。

 

 

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財務で60点、事例ⅣでA評価をとるためには?~CVP~”へ4件のコメント

  1. よこやん より:

    こんばんわ。
    質問させてください。
    下記の式の中で、360/(1-320/680)
    =360/{(680-320)/680}となっていますが、1はどこへいったのでしょうか?
    どのようにして計算が進められていったのか手順を教えていただきたいです。
    よろしくお願いします。

    損益分岐点売上高(BEP) = 固定費(FC) ÷ (1-変動費率(α))
    =360 ÷ (1-320 ÷ 680)
    =360 ÷ [(680-320) ÷ 680]
    =360 ÷ (360 ÷ 680)
    =360 × 680 ÷ 360
    =680
    単価が1,700円の時の損益分岐点売上高(BEP)=680千円・・・②

    1. さいちゃん より:

      よこやんさん

      コメントありがとうございます!
      1を680/680と変換し、
      (1-320 ÷ 680)=(1-320/680)=(680/680-320/680)=((680-320)÷680)となります

      分母を680にそろえることで、分子の引き算(680-320)ができるようにしています。
      電卓がない中で掛け算や割り算をする場合に、式変形を行って一番最後に掛け算、割り算をして時間の短縮と計算ミスを削減を図ることは、一次試験で有効なテクニックですね。

      文章で説明するとうまく伝えられていないかも思いますので、不明点あればお願いします。

  2. おと より:

    コメントありがとうございます。
    このブログのタイトル通り、財務が苦手な方に対して、60点とA評価がとれるような内容を一年間続けるつもりです。

    また、次回のテーマは、苦手な人には敷居が高い「ファイナンスのオプション取引」にする予定です。3月6日にアップ予定なので、またご覧頂いてコメント頂けると嬉しいです。

    おと

  3. 匿名 より:

    東北在住シロと申します。
    この合格道場を昨年末(2014.12)頃から拝見させていただいております。
    ほぼ独学に近く、仕事柄このような財務関係と無縁の私にとっては非常にありがたいページであります。
    そして私もアラフォーに突入、企業経営理論の基礎学習を終え、ようやくこの科目(ペース遅すぎかも)ですが、なんとか奮闘しております。
    初学者の私には何ともわかり易くそして丁寧ですね。
    今後とも頻出論点の継続版をぜひ期待したいと思っております。
    以上シロでした。

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