【法務】法務アレルギーになる前に

皆さんこんにちは。

早いものでもう3月。TACにおいては情報科目が終了し、残すは法務と中小企業政策のみとなりました。これまで5科目の勉強を積み重ねてきた事、ここまで勉強を継続して行えた事は自信を持って良い事です。残り2科目も油断をせず勉強を継続していきましょう

さて、いよいよ来週からは経営法務がスタートします。
この経営法務、バリバリの暗記科目と思いきや、実は結構理屈が大事。私はその事に気付くのが遅れ、一年目は敗退してしまいました。この点については勉強が始まってからのほうが実感出来ると思いますので、次回にお話したいと思います。

本日は経営法務に入る前のイントロダクション。タイトルにもあるように私は法務アレルギー持ちでした苦手意識バリバリ。これまで法律なんて勉強した事もなかったし、二次試験との関連も薄いから勉強する費用対効果が薄いなぁ…出来れば他科目でカバー出来ないかなぁなんて思っていた時期もありました。そんな苦い反省を踏まえながら、本日は法律なんて一度も勉強した事がないという2年前の私と同じ状況の方に向けて、診断士が法律を勉強する意義試験における法務の特徴をお伝えしたいと思います。

■そもそも法律ってなんだ?
私達の生活は実は隅々まで法律によって支えられています。会社でのお仕事や日常の買い物、車の運転、結婚生活エトセトラエトセトラ。これらはすべて法律の枠組みの中で可能となるものです。ただ、日常生活でそうした法律を意識することはほとんどないでしょう。では、どういった時に意識するか?それは何かトラブルがあった時です。人が集団で生きていく中ではどうして揉め事が起こります。でも、みんなが仲良くやっていくには揉め事がなるべく起きないように、揉め事が起きた場合には適切かつ迅速に解決する必要があります。法律は集団生活を営む上で人間が作り出したルールです。法律を学ぶという事は、法という独特な道具の使い方を学びながら、過去から続くみんなで仲良くやる方法を身につけるという事なのです。だとすると、ただ法律を暗記するだけは勿体無いかも。

■法律っていくつあるんだ?
はい、それでは問題です。2014年2月1日時点で日本国内には法律はいくつあるでしょうか。総務省が運営する法令データ提供システムで検索してみたら1,907件ありました。世の中が複雑化・高度化してくると過去にない問題が発生します。その度に法律が作られているのです。この数ある法律の中から診断士で勉強する法律はざっくりと民法、会社法、金融商品取引法、倒産法、知的財産権(特許法、実用新案法、商標法、意匠法、不正競争防止法)、その他経営に関わる法律(独禁法、PL法、消費者契約法、景品表示法)くらい。法律全部をカバーするのってそれこそ不可能なんじゃないかって思えてきました

■専門家って何を勉強したの?
法律の専門家といえばやはり弁護士の先生!診断士受験前はそのような感覚を持っていました。しかしながら実際は数多くの法律があるので様々な法律職の方々が専門分野を持ちながら、法律の問題に対応しています。下記は簡略ながら、どのような士業の方がどの分野の専門なのかを受験要項から大まかに分類しております。

パッと見て分かるのは①弁護士のマルチっぷり②司法書士・行政書士のカバー範囲の広さ③その他士業は専門の分野中心。こうやって見ると診断士はどちらかと言えば、浅く広くの知識が求められているのが分かります。

■診断士は何が出来るの?
情報の回でもお伝えしたように診断士にとって法務の位置付けは自らが専門家になる事が目的ではなく、経営者への一般的な解釈のお話や専門家への橋渡しが出来るようになる事にあります。その為、試験勉強においても各法律知識について会社経営に関わるものを中心に最低限の知識を得ているかを試すものだと言えるでしょう。

■経営法務って難しいの?
経営法務の必要性は分かった。でも、やっぱり気になるのは試験の難易度。ぶっちゃけ、かなり難しい?そんな気になるあなたに向けて試験における経営法務の立ち位置を考えてみましょう。まずは過去5年間の経営法務の受験データです。2009年は易化の影響で合格者増加。それに伴い、10年、11年は難化傾向にありましたが、その後は合格率は安定的に推移。

もう一つグラフを用意しました。これは暗記三兄弟+経済の科目合格率の過去5年間の推移をまとめています。年度によっては極端に難易度が変わるイメージがある経済だけでなく、実は情報や中小も意外とジェットコースターのように上げ下げ激しい。科目合格率が一桁だったり13年度の情報のように科目合格率50%超えなんて年もあります。これらと比較すると法務の安定感は見逃せません。

これらのデータは出題者側としてみれば経営法務は「計算出来る」科目であるという事実。一次試験の合格基準は、総点数の 60% 以上であって、かつ 1科目でも満点の 40% 未満のないこと。言い換えれば、出題者が作る問題は極端に簡単すぎても、難しすぎてもダメという制約が課せられています。得点予想が外れにくいというのは出題者側にとってみればありがたい事なのです。では、どうして法務は得点がばらけにくいのでしょうか。

■経営法務の特徴
受験生の資質は十人十色。年度によって受験生がどんな人間でどんな戦略でどんな勉強をしてくるかなんて正確に把握出来ません。二次試験でも関連性が高い企業、運営、財務はどの受験生もしっかり仕上げてくる事はある程度予想出来る。でも、残り4科目はその人の立場によって扱い方が違うのではないでしょうか。経済、情報、中小がこれだけ科目合格率が振れる(=出題者側と受験生側の難易度認識のミスマッチ)が起こるのはなぜか。あくまで個人的推察&無理やり感のある理屈ですが、こんな風に考えてみました。

【経済&情報】
受験生の初期ステータスの偏差が大きい。
(ex.理系学部出身等の数学的素養、IT系情報リテラシー)

【中小】
初期ステータスはほぼ同じ。
しかし受験生側の取り組み方やテストの内容の偏差が大きい。
(ex.受験生側:超短期詰込対応のよる準備不足、テスト側:最新白書出題による過去問演習の無効化)

上記3科目に比較すると法務の特徴は下記3つ。

1. 受験生側の初期法律知識はほぼ同じ。
(法務部門勤務者・法律職者でも未勉強分野有り)
2. 試験問題は診断士の特徴から広く浅くの勉強で解答可能なレベル。
その為、問題バリエーションが少ない。
3. よって出題者側としては設問難易度の判別予想が容易。
細かい論点を織り交ぜれば60点ライン得点調整可能。

経済や情報のように出題者がAランクと思っていた問題が受験生から見るとCランクだったというミスマッチや中小のように意味の無い統計データを覚えたり過去問が効果的に機能しないといったデメリットが法務にはあまりありません。また、限られた出題領域&広く浅くが基本方針という縛りの為か、ある程度問題のバリエーションは限られているのも法務の特徴として挙げられます。となると、頻出論点をしっかり押さえる事、過去問を通して出題形式に慣れる事が非常に効果的です。法務は正しい勉強範囲を押さえ理解に努めればしっかりと得点を伸ばすことが出来る科目といえるでしょう。

最後に、科目合格率だけでは、「総合成績で不合格になったけどその科目が60点を超えた人の確率」なので、ちょっと物足りません。そのため、道場では過去記事においても「科目クリア率」を算出していますので、そちらも用意してみました。「科目クリア率」とは「当該科目を60点以上取れた人、または他の科目でカバーできた人」の割合です。正確な数字ではありませんのであくまでも参考値です確認してみましょう。

あんなに科目合格率が低かった経済や中小でも一次試験をパスしている人は25%以上に跳ね上がります。難易度が高い科目と言えども、一次試験をパスする人間はしっかりとパスしています。一次試験合格率20%と考えると科目クリア率が30%を超えている科目については貯金科目として認識できるのではないかと思います。直近5年間30%以上を記録している法務は味方にしやすい科目ですので、ぜひ来週からの法務を得意科目にし法務アドバンテージを持てる事を期待しています

それでは本日はこの辺りで失礼します。

Oz

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【法務】法務アレルギーになる前に”へ2件のコメント

  1. Oz より:

    セイジュ様

    コメントありがとうございます。
    ご指摘の通り、今回は未学習者の方へイントロダクションという位置付けであり、経営法務の範囲に限って図表の関連法律を分類しております。

    当初、労働法については試験要項にも記載されていますので図表に「◯」を入れるか迷いましたが、企業経営理論で既習にも関わらず、再度法務でもやらなければいけないのかという反応を回避する為、除外しております。

    また税法については「法律」として正式に学んだ覚えは記憶に無く、試験要項に記載されておりませんので除外しております。

    セイジュ様のご指摘により、コメント欄ではありますが、多くの読者の方の疑問にもフォローする事が出来ました。ありがとうございます。また何か疑問点等ありましたらお気軽にコメント下さい。宜しくお願いします。

  2. セイジュ より:

    興味深く読ませていただきました。
    ところで、「数ある法律の中から診断士で勉強する法律」の中に、労働関連法規や税法などが含まれていないのは、今日のテーマが経営法務だから、ということでよろしいでしょうか?

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