【渾身・財務】WACCとCAPM

こんにちは。まっすーです。

ひろいんの記事にもありましたが、5月7日(火)から、中小企業診断士試験一次試験の受験申し込みが開始されています。
診断士試験の願書はネットでの取り寄せができないため、郵送で請求するか、各地区の都道府県協会に直接取りに行く必要があります。

また、郵便局やゆうちょ銀行での受験料払込によって、申し込みを行います。
この振込みには、願書についている払込用紙が必要です。
そのために願書を必ず入手しなければならないので、ご注意ください。

ちなみに、申し込みは5月31日(金)までです。
受験申込を迷っている方も、ひとまず願書だけでも入手しておきましょう。

 

さて、4代目メンバーによる「渾身の徹底論点整理シリーズ」
今回は財務会計のWACCとCAPMに関してのお話です。

この二つ、略語からして専門的な感じがして、ちょっと腰が引けてしまいます。
この二つは企業価値を求める計算に使用されるわけですが、その前に、企業価値を求める方法には、下記のような分類があります。

①コスト・アプローチ
会社が保有する純資産を対象企業の価値として評価する方法。
例)簿価純資産額法、時価純資産額法

②マーケット・アプローチ
株式市場で評価される株式の価値を用いて対象企業の価値を評価する方法。
例)類似会社比準法、類似業種比準法

③インカム・アプローチ
将来獲得されるリターン(利益、キャッシュフロー、配当)を現在価値に還元して対象企業の価値を評価する方法。
例)DCF法、収益還元法、配当還元法

企業のM&A時には、この中から複数の方法を用いて企業価値を計算するのが通常です。

診断士試験では、過去には、平成16年の二次試験事例IV第3問(設問3)のように、企業価値計算方法の名称と内容(40字以内)を記述させる、といった問われ方もありました。
一度出ているので、同じ問題はもう出ないかもしれませんが、いずれにしても頻出論点ですので、それぞれの方法の名称と内容は抑えておきましょう。

さて、WACCとCAPMは、上記の企業価値算定方法のうち、③インカム・アプローチで使用されるものです。
以下、それぞれについて解説します。

 

WACCは、Weighted Average Cost of Capitalの略で、日本語では加重平均資本コストと訳されます。
企業が資金を調達するために必要なコストを、負債と自己資本で加重平均して求めるため、加重平均資本コストと言います。

WACC = 有利子負債/(有利子負債+株主資本)×負債資本コスト×(1-税率)+株主資本/(有利子負債+株主資本)×株主資本コスト

負債資本コストというのは、借入金にかかる利息のことですね。
一般的にはWACCの計算には、買掛金や未払金等の利息が発生しない負債を含めません。
これは、買掛金や未払金自体は、資金調達コストとは無関係であるとみなすためです。

一方の株主資本コストというのはイメージしづらいかもしれません。
株主は、株式会社の株式を購入して、投資することで、配当というリターンを得ようとします。

配当というのは常に同額が支払われるものではなく、また、借入金と違って、投資の段階でいくらの配当を支払いますよ、と決めてもらえるわけでもなく、会社の利益額や内部留保への考え方によって異なってくるからです

とはいえ、株主が、その期待するリターンについて、コストとして認識するのが株主資本コストの考え方になります。

WACCの計算式で注目すべきポイントは、1-税率の部分ですね。
これはMM理論修正命題の、「法人税が存在するとき、負債比率が高まるほど節税効果の現在価値分だけ企業価値は上昇する」に関連してくるのですが、法人税がある前提だと、借入金を増加したほうが、節税効果により企業価値が高まることになります。

企業価値が高まるというのは、WACCが下がるということになります。
なぜなら、企業価値の計算、例えばDCF法では将来のキャッシュフローを現在価値に換算する、つまりキャッシュフローを「1+WACC」で割っていくことで求められるので、分母になるWACCが少なくなればなるほど、企業価値は増加するわけです。

 

続いて、CAPMの話に移ります。
これはCapital Asset Pricing Modelの略で、資本資産価格モデルと訳されます。
WACCの計算で使用する、株主資本コストを計算するものです。

計算式は、下記のとおりです。

CAPM=リスクフリーレート+ベータ値×リスクプレミアム
リスクプレミアム=市場全体の投資利回り-リスクフリーレート

リスクフリーレートは読んで字のごとく、リスクがない状態の利子率です。
もちろん、リスクが全くない投資、というのは現実的には考えられません。
ここでは、限りなくゼロに近い、という意味で使用しています。
一般的には10年もの国債の利回りを使用するようです(参考:2013年5月7日時点で0.598%。最新の国債金利情報はこちらで調べられます)。

次にベータ値ですが、これは個別株式のマーケットのリスクに対する影響度を示す指標です。
こちらのサイトで、株価検索を行うと、ベータ値の確認が可能です。

試しに、昨日2014年3月期の大幅増益がニュース報道された、トヨタ自動車のベータ値を検索してみると、1.11となっています。これはつまり、市場全体が10%上昇するとトヨタ自動車の株価は11.1%上昇して、逆に市場全体が10%下落すると11.1%下落することを意味します。

最後にリスクプレミアムですが、市場全体の期待収益率を表す数値です。
リスクが限りなくゼロに近い国債などでの期待収益率と、株式投資の期待収益率が違うのは当然ですし、株式投資の方が高い期待収益率になりますよね。

この計算を行うことによって算出されるCAPMが、WACCで使用する株主資本コストになる、ということになります。

以上がWACCとCAPMについての説明になります。

 

財務会計は、一次試験から二次試験にそのままつながる論点が多いです。
そのため、今のうちにしっかりと基本を固めおくことは極めて重要です。
特にストレート合格狙いの方は、ここで基礎力を身につけておかないと、時間が全然足りない二次試験対策で、苦労することになります。

もちろん一次試験を突破することが第一目標ではありますが、あやふやな論点は今のうちに潰しておきましょうね

by まっすー

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