こんな問題、80分で解けるワケがない。

これ↑はH24年事例Ⅳに筆者も挑んだ感想。繰り返しですが、

こんな問題80分で解けるワケない。

受験校による模範解答発表に少々先立ち、自分で計算した答は以下の通り(たぶんいくつか間違いあり)

第1問(1) ※営業利益額のみ記載
改修1年目 18,730 改修2年目 33,470

第1問(2) ※参考例
売上高総利益率       75.65%
売上高営業利益率     8.08%
有形固定資産回転率  0.69回

第1問(3)
NPVが151,515千円となり正であるため、この投資を実行。

第2問(1)
損益分岐点比率 107.013%

第2問(2)
固定費削減額 29,960

第3問(1)
企業価値 921,438

第3問(2)
省略

.

■なぜ80分で解けるワケがないのか■

今回の事例Ⅳの難しさ(を素人目に見ると)、以下の通り。

①最低限の公式を知らないと、計算すらできない。
②手順を踏んだ計算が求められ、一ミスから連鎖的に間違う。
③予想FSの経営分析は数字を当てにくく、かつ記述がない。

つまり(計算過程での部分点を除き)、答えの数字だけ当てようとすると、限りなく0点に近づく。更にこの計算を当てるには、

①どの論点が要求されたかを素早く見抜き、
②計算手順を想定しつつ、計算に必要な条件を抜出し、
③確実に計算したうえで間違いがないかを検算

することが必要。もしそんな能力があるなら、診断士試験より会計士や税理士を目指す方が○。よってこれら計算問題を当てた方は、自分の能力と合格に自信を持って良い。

しかし。

①受験者総数5,000人中約1,000人を合格させるこの試験。
②この事例Ⅳで、満足いく計算結果を出したのは1,000人以下。
③従い、事例Ⅳ計算問題が全く不出来でも、合格の余地あり。

という仮説が成立。かつ採点者側が計算過程をいくら丁寧に採点しても。

難しすぎる試験=点差がつかない試験

になるのは世の常識。よって事例Ⅳの手応えが悪い方に。

事例Ⅳはなかったことと思い(みんな限りなく0点)、
事例Ⅰ~Ⅲの得点可能性を吟味し、12/7合格発表を待つ

ことを選択する方法をアドバイス。

※事例Ⅳ計算問題で2~3ヵ所以上計算を当てればそれなりの高得点。でも大雑把かつ乱暴に書くと、その人数は全体の5%もいるかどうか。であれば計算問題=0点でも、残り15%も合格枠に余裕がある。

.

■ではどうするか① →計算過程を検証■

では計算結果が合っていない前提で、部分点の入り方を検証。

①最低限の公式を使えたか
②計算手順はどこまで正しく、どこから間違えたか
③経営分析の3指標をどのようなロジックで選んだか

では①から。難しい試験だけど、問われた論点はシンプル。採点基準次第とはいえ、以下の計算過程の痕跡があると、部分点もらえるはず。

○全部原価計算   →直接原価計算への書き換え(第1問(1))
○損益分岐点計算 →SBEP=固定費/限界利益率
○損益分岐点感度分析 →条件を変化させ、固定費削減額を計算
△差額収益 (第1問(3))  ←出来なくてOK
○FCFの公式。FCF=営業利益×(1-税率)+減価償却費
○WACC=負債コスト(税引後)+株主資本コストの加重平均
○企業価値(継続価値)=FCF/(WACC-成長率)

次に②。①と同様、計算過程を「採点者に読める字で」答案用紙に書いてきたかどうか。後で示しますが、部分点になりうる計算過程が多数。

最後に③。記述なし、本文根拠少ない、予想損益計算書を作らないと数字が出せない。もちろん数字当てるのがベストとはいえ、確実に当てた一握りの人以外はどんぐり競争になるから、当たってなくても気にしない。

 

■ではどうするか② →考えても仕方がない。けど・・■

みんな出来てないし、今から悔やんでももう点数は変わらない。でも受験校の解説は一通り聞き、何が起きたか・何が問われたか・なぜ計算があたらないかは、しっかり押さえておきたい。

以下に、エクセルを使った計算過程を記します(画像クリック必要)

・問われた論点は基本的。
・しかし計算が難しく、判断ミスをしやすい。
・一方、計算を一通りクリアすると、答えを出すのは容易

つまり今年の事例Ⅳ、ごく基本的な論点が問われた一方、得点はほとんど期待できない。そこで大胆な仮説。

①今回の事例Ⅳは、そもそも得点を期待していないのでは?
②その代わり、基本論点をしっかり教えることが目的では?
③この難問をクリアした人だけには、合格お墨付きを与えるのでは?

この仮説、根拠など全くなし。でも「そうかな?」と思って眺めると、意外とそれらしい。

.

■ではどうするか③ →試験という立場を離れて■

外野から大変恐縮ですが。この事例Ⅳ、

選抜試験という目的を離れ、
赤字企業の復活再生手順と思って見ると、じつに秀逸。

上記計算結果が合っている仮定で、答の数字から試験委員の意図を読み解くと、

①安易な縮小より、積極投資による経営改善が妥当
②設備投資による収益性改善は、定量的に把握可能
③事業売却を選ぶにしても、まず黒字化することが重要

などのメッセージが伝わってくる(←他にあればコメントお願いします)

そこで本試験80分では歯が立たなかった問題でも、数日間をおいて、一度だけゆっくり解き直してみてはいかがでしょう?

そこから何か伝わってくるものがあれば。

試験の合否とは違った角度で、この試験に1年を賭けた成果を実感可能。

.

■事例Ⅳのことを忘れるためのまとめ■

当記事は過去の一合格者による感想文に過ぎず、計算結果も恐らく一部間違い。しかし論理的に見ていくと、

この事例Ⅳは、別に得点しなくても合否に無関係

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

SSS様のご指摘により以下に修正します。
貴重なコメント大変ありがとうございました(2012/10/23)。

①H24事例Ⅳは、従来の「経営分析で得点」「計算問題でそこそこ」という常識を大きく覆した。今後は、個別論点の見極めや正確な計算がより問われる可能性がある。
②計算問題で点差が開き、上手に対応した人は合格に前進(A評価)
③計算結果が合わなくても、部分点によりB・C評価は可能。その場合、事例Ⅰ~Ⅲの出来次第で、十分合格可能

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

今後診断士として活躍、またそのためにまず事例Ⅳを克服するには、そういった「論理的な割り切り」も欠かせないのでは。では今日のまとめ。

 ・この計算問題の全問正答は至難。難しすぎる試験は差がつかない。
・事例Ⅳを一旦忘れ、自分の事例Ⅰ~Ⅲの解答結果をしっかり確認。
・心の余裕ができたら、事例Ⅳをもう一度だけ解きなおす。
・H24年事例Ⅳは難問であったが、決して奇問ではない。

byふうじん


コメント & トラックバック

はじめまして。先輩診断士としての心温まるブログUPありがとうございました。
間違ってるかもしれない、という前提での勇気ある解答掲載も、ありがとうございました。
(嫌味じゃないですよ。受験生のことを考えてくれた姿勢に感謝してます)

第1問設問3は、私もまったく同じ解答でした。
でもこれって、営業外損益のCOFを考えてませんよね。再現答案を作るときに気づいて、「あーあ、間違えた」と思ってましたw もしこれが正解だったら助かりますけどね・・・

それでは、今後とも受験生に役立つ情報の更新を期待してます。ありがとうございました。

tks様、ご指摘ありがとうございます。
.
ご指摘の通り、追加借入金利130,000千円×4%=5,200千円をCOFに含めるのがより正しい計算の様です。ただFCFで考えると営業外損益を無視できるため、151,151も正解と言い張ることができそうです。この解釈はかなり細かくなるため、受験校解説を確認し、改めてお返事差し上げます。
.
不十分な回答で申し訳ございません。

あ、TACの解答速報で151,515キました
まだ理解できませんが…。

よかったらレスください。

ふうじんさま

はやっ!

早朝にいただいたメッセージは、このことだったんですか・・・。
迂闊な私は今日とは思わなんだ(゜o゜)

経営革新と事業承継、まさに今日的テーマですね。

始めまして。一受験者です。いつも拝見させて頂いております。
また、ボランティアでの様々なご指導誠にありがとうございます。一次試験にストレート合格できたのも、皆様のお陰と感じ、日々感謝致しております。

決して批判ではないのですが、今回の記事だけは(?)と思い、書き込んでしまいました。

今回の事例Ⅳは得点しなくても合否に無関係という点は如何でしょうか。

私、初年度受験生で某大手予備校通学者の社会人でして、その予備校の模擬試験でも事例Ⅳは真ん中くらいの順位ですが、T○Cの解答速報を見る限り半分程度は正解しております。
ですので、おそらく、某大手予備校の私より上位の半分以上の方はもっと出来ているとおもいます。

事例Ⅳの総括は、得点しなくても合否に無関係という事では無く(まぁ、T○Cの総評も同じような事書いてましたけどね。)、もっと別の所にあるかと。

僭越ながらのご意見と致しましては、事例Ⅳの総括は、予備校等、教育機関が、もっと噛み砕いて言えば、「事例Ⅳの一問目は毎年同じだから絶対とろうね~!」って言ってた人、もしくはそれに類する趣旨の発言をしていた人達が、『事前に』ハズした事例だった。という点ではないでしょうか。

当然ながら合格する受験者は『試験前』の勉強や情報収集段階で多少ハズせども、少なくとも『試験中は』ハズしていない事例だったのではないかなとおもいます。

但し、ここまで傾向が変わる事は決して誰も予測できなかったと思います。ですので、その点は全く問題はないと思います。

ただ、事例Ⅳの総括として、繰り返しで恐縮ですが、
①受験者『以外』は全体的にハズした。
②(推測含みますが)合格者はハズしていない
③『試験は不測の事態が起きるけどがんばろうね』の一言ではすまされない試験の変化(=外部環境の変化)が今後も起き、それに如何に対応するかを
試験当日問われる傾向に変わるのではないか?
というか試験委員は当然こうなるのわかってるはずなので、『広義な設問』を出したのではないか?

以上の点なのかなと思います。仮に事例Ⅳが0点でも合格する人がいるとしたら(理論上はいると思います。)、それこそ、出題不備だと思います。
なぜなら、約6千人に意味の無い80分を過ごさせた
訳ですから。

事例Ⅳは得点しなくても合否に無関係という総括は上記の受験生やそれに関わる人達に対して、試験委員が出した『広義の設問』を闇に葬りさってしまう便利語なのではないかと思ってしまうのです。

SSS様、的確なご指摘大変ありがとうございます。
.
仰る通り、「事例Ⅳ点数は合否に無関係」は、配慮を欠いた不適切な表現でした。内容修正しましたので、おかしな点あれば改めてご指摘いただけると幸いです。
.
ご指摘の「試験委員による『広義の設問』」は、事例Ⅳの取組み姿勢に大変化を与えると予想します。今後の解答解説や2次口述試験を通じその真意を理解し、それを次世代に伝えていくことも診断士への期待の一つと言えそうです。
.
末筆ながらSSS様の今後ますますのご活躍を祈念しております。

ふうじん様
受取利息も無くなるため、考慮すべきCOFは5700かな、と。
FCF計算は営業外を無視ってわかってませんでした(汗 ありがとうございます
正答となる可能性があることだけでも分かって良かったです。

ふうじんさん、こんにちわ。

問2-1は、千円未満四捨五入に引っ掛かりました。やられました。問2-2は取れてホッとしました。

経営指標は、有個と、収益性1つは鉄板として、あと1個を何にするかですね。

問3-1は、営業利益にオーナー給与を足し戻して、新営業利益からFCFを計算し、負債合計と資本合計からWACCを計算して、FCF/WACCから求めるのですね。言われりゃ分かりますけど、あの場では思いつかなかったです。

負債比率と、資本比率と、資本コスト、負債コストを使うのは、分かったんだけどなぁ。

細かく足していくと、40点は行ってそうです。足切りは免れているようです。よかった。

所で、事例Ⅳの記事がもう1個あったような気がしますが、錯覚!?

ざあらし様、仔細な情報開示ありがとうございます。仰る通り、計算問題は理屈を聞けば簡単ですから、本番でいかに冷静に判断できるかがポイント。今年はこの分量(200字含む)・計算量であり、冷静に処理できる人は極めて少数でしょう。
.
よって、

-数字まで当てる →第1問(1)※営業利益まででOK
-計算過程は当てる →第2問(1)(2)
-捨て問 →第1問(3)

を前提とし、以下の評価を予想。多分T○Cも同じようなこと言うはず。

-周囲並みに計算過程が当たれば→B評価
-周囲が取れていない数字をいくつか当てれば→A評価

あと経営指標の収益性残り2つは、たぶん何を書いても○くれるので、合格者レベルでは差がつかないと思います。
.
AAAA合格を狙う場合、Aさえ取ればそれ以上の高得点は死に票。従い難しい計算問題の答を当てる必要はないと思っています。ではまた新しい情報あればぜひ教えてください!

ざあらしさんの状況を見て、少し安心。
第一問は12点くらい
第二問は15点~20点
第三問は15~20点くらいです。
計算過程なんかきれいに書いてないから、同じ位
でした。第一問の予想決算書、NPVはことごとく
外してしまいました。

ふうじんさん、こんにちわ。
朝からこの事例をやってました。
論点盛り沢山で、とても面白い問題ですね。130百万円を融資する案件として実際にありそうです。
結果は変動売上原価、変動販管費という言葉に見事に引っかかって、二年目以降も大赤字、売上高しか当たっていませんので、0点に近いです。
時間も気がついたら80分はとっくに過ぎていて、本番でこんなの無理とは思いますが、練習問題にはいいです。
何度か繰り返して、該当の計算問題に当たるのが良さそうです。
☝記事が面白くて勇気づけられました。

たなち様、仰る通りです。これだけ完成度の高い出題は滅多になく、試験でなければ最良の教材と言えます。
.
実務に役立てながらついでに合格できる、というのは診断士試験の魅力ですね。あとまだ5週間、これからますます楽しみです。

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