【事例Ⅳ】設備投資後の予想財務諸表

こんにちは。こぐまです。

本日は事例Ⅳについてです。

昨年の出題を踏まえ、受験校でキャッシュフロー計算書の作成をいやというほどやらされているのでは?

超重要論点ですから絶対に外すことはできませんが、今回はその一歩手前、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書の作成について、過去問を踏まえてリマインドできればと考えています。

 

◆予想財務諸表の作成◆

直近の過去問や、それを反映した受験校の答練をやっていると、やたらと複雑なNPV計算とか損益分岐点計算財務レバレッジ企業価値計算、デシジョンツリーなどに目が行ってしまいがちです。

それはもちろん習熟しておく必要がありますが、まずは財務・会計の基本である、財務諸表のつくりとその活用方法を理解しておくことが真の実力に繋がるのではないかという意見を持っています。

ここでの論点は、ざっくり言ってしまえば次の通り。

投資(設備等)を行ったら、会社の財務状態にどういう影響を与えるか

 

 

1次試験で学んだ会計の基礎知識ですが、そこは2次試験、その基礎知識をややこしく組み合わせた問題が出ることがあります。
最近では平成17年度

ファイナンス理論も重要ですが、このようなある意味ベタな会計問題は忘れがちなので、一度、財務諸表の作り方について基本を復習しておいてみてはいかがでしょうか。
同じような問題が出るとは思えませんが、必要とされる知識やスキルは普遍的なものです。

第1問の経営分析問題でも役に立つことがあると思います。
結構、落とし穴がありますよ。

 

◆迷う社長◆

ここでは、起死回生というか乾坤一擲の設備投資を行うべきか否か、迷っている社長が登場します。そして中小企業診断士であるあなたに、この投資を行った場合に財務状態がどのように変化するか助言してほしいと依頼してきます。

現在の財務状態を示す財務諸表は第1問で分析したものです。これをベースにして、問題文や設問文で示されているいろいろな条件に沿って、投資後の財務諸表(当期末)を作成します。

そして、作成した予想財務諸表から、設備投資計画のメリットとデメリットなどを記述させることが定番です。
その際、第1問の経営分析の回答と関連付けることがポイントになるかと思います。

 

◆さまざまな条件◆

かなり長い文章で多くの条件が詳細まで指定されます。これを読み解いていくだけで時間がかかり、見落としやポカミスが発生しやすいです。
条件を確実につぶしていくための自分なりのポカよけを準備しておきたいところ。

条件で示される会計の基礎に関連して、次のような点を復習しておきましょう。

1.設備投資(減価償却費)
・投資時期・・・通常は期初が指定される
・償却年数と残存価額の有無
・既存設備の簿価と償却費
・減価償却費の計上項目・・・製造原価か販管費か

2.資金調達(借入金)
・借入金の返済条件・・・元本据え置き期間
・借入利率・・・支払利息は営業外費用に計上

3.販売数量と単価の変化
・新数量×新単価=新売上高

4.費用の変化
・条件に書かれている通りに、増減を計算。原価項目か販管費かに注意。

5.売上債権、仕入債務
回転率から金額を逆算できるようになっているはず。

6.棚卸資産
与えられている条件が仕掛品や製品・商品の在庫金額に影響する場合、期首(前期末)と期末の残高に注意。
おわかりのとおり売上原価の算定に影響しますが、案外、見逃しやすい点です。

7.法人税
・法人税の支払い時期の指定に注意。翌期に支払う場合は未払法人税(その他流動負債)に計上。
・前期末未払法人税は当期に支払われるとして当期末の未払法人税勘定残高を加減すること。

8.配当金
・利益剰余金の残高へ影響することに注意。

9.現預金
・すべてのB/S項目が埋まったら、差し引き計算で最後に算出。

 

◆落ち着いて計算する◆

この手の問題はとにかくやたらと条件が多いので、どの勘定科目に影響するのかをひとつひとつ注意しながら、問題用紙にある財務諸表に増減と結果を書き込んでいくとモレが防げます。

仕訳を起こす必要はなく、着実に電卓に入れていけば空欄が埋まっていきます。

考えられるのは、ひとひねりして、でき上がった財務諸表からさらにキャッシュフローを計算させることです。
ひと手間増えますね。

そのためにも、財務諸表の基礎とお互いの関連性をもう一度、確実に理解しておきたいところです。

 

◆まとめ◆

今年は2次試験受験者数が増加する見込みから、事例Ⅳは難化するだろうと多くの人が予測しているようです。

たぶんそうなんだろうなと思いますが、一方で、あまりにキワモノ的な出題をするとほとんどの人が解けない(たとえば平成21年度)はず。
それは試験委員もすでに認識しているでしょう。

事例Ⅳで求められているレベルは、会計であれファイナンスであれ、基礎知識を正確に引き出して組み合わせることであり、曖昧な理解の状態では解けない(ミスを誘発する、解法が思いつかない)問題を出すことによって篩にかけていると思います。

さすがに昨年度は易しすぎたかもしれませんが、受験校の答練、問題集や定評ある市販の問題集などを着実に何度も解いて理解を深めれば、少々難化しても決して恐れることはないと考えています。

そして、事例Ⅳに頼りすぎることなく、事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲも一定以上のレベルを確保することが合格に繋がるのではないでしょうか。

 

by こぐま

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【事例Ⅳ】設備投資後の予想財務諸表”へ2件のコメント

  1. こぐま より:

    ざあらしさま

    すみません、こちらにもコメントいただいていたんですね。失礼いたしました。

    第1問の設問1、当たりかどうかは別として、近年、特にFS作成の能力は重視されていますね。

    論点的には正攻法の出題(除く第3問設問2)と見受けますが、計算のややこしさと計算過程を書かせることで、相当、時間を取られたんでしょうね。

    最初の問題で心理的に楽になっていただいたのであれば、この記事も少しはお役にたてたかな、と嬉しく思います。

    わざわざ、コメントいただきありがとうございました。

  2. ざあらし より:

    こぐまさんの予想大当たりでした。
    事例Ⅳの開始前に解答用紙が透けてみえたときに、売上高とか売上原価の文字が見えて、ピンと来ました。事前に練習しておいてよかったです。ありがとうございました。

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