過去問、やる・やらない
こんにちは、を~です。
あれれ、という間に9月になってしまいました
T社の模試を教室受験された方はどんな感触だったでしょうか?
模範解答を読む前に一回、読んだ後にもう一回、得点を予想してみてはいかがでしょう。
実際に答案が返却されたときに自分の理解度をよ~く認識できるチャンスですよ。
(もしかして、T生にとってはジョーシキだったりする?)
前2回の不合格体験記事(?)で紹介したとおり、ぼくの2次演習事例はほとんどが過去問でした。
だからといって過去問をやることだけを賞賛するわけではありませんが、どんな勉強でも基本は過去問とする考え方があるのは事実です。
一方で、過去問中心の演習というのに異論があることも確かです。
というわけで、今回は過去問やる・やらないについて考えてみたいと思います。
■ 過去問ネガティブ派
①模範解答がない!
過去問を一生懸命に解いたところで、模範解答や採点基準がありません。
受験校は解答例を出しますが、それは100点の解答ではありません(補足を後述)。
つまり、自己採点が極めて困難ということです。
過去問に限らず、演習を振り返ることはとても重要、ということは説明の必要もないことと思います。
過去問を使った演習では、模範解答や公式な採点基準がない(公表されない)ことで、振り返りの質を高める行為は限定的とならざるを得ません。
②同じ問題は出ない!
当然といえば当然ではありますが、同じ事例企業が取り上げられることはありません。
ということは、例え過去の設問と同じ事を問われても(実際に、「頻出論点」といえる論点はあります)、答えを作る根拠や、理由・目的の優先順位は異なってきます。
過去問を使った力試しや試験対応力養成は効果が低く、時間のムダである、というような考え方があったりもします。
(ぼくはこの考え方を否定はしません。かといって積極的に支持もしないけど。)
③受験校の作る演習問題で十分
受験校は過去問を徹底的に分析します。
その分析結果に基づいて問題を作成するので、設問の傾向や過去問事例企業の業種などを踏まえた事例演習が可能となります。
金型製造ってどんなことするの?
自動車部品メーカーが置かれている環境は?
なんてことも、受験校の演習をやっていればきっと出てきますね。
当然、頻出論点についても、巧妙な手口でその問い方を踏襲したり、根拠を埋め込んだりします。
設問文中における制約条件の付け方も、もしかしたら本試験よりも絶妙かもしれません。
なにより受験校が出題者なので、模範解答も採点基準もあるし、復習でも採点が可能ですよね
④絶対数が限定的
当然過去問ですから、実施された回数分だけの問題があるはずです。
「制度が改正されてから」という条件を考慮すると、平成18年度以降となります。
それに、今から市販の過去問集を買おうとしても、だいたい過去5年分しか収録されていません。
つまりそもそも絶対数が少ない。
2次試験向けの学習をしていると、過去問に対する対応方法や解答例をいろいろなところ(ブログ、書籍、ガイダンス等)で目にします。
ということは、「初見の問題」に立ち向かう機会がさらに減ってしまうということです。
本番直前に力試しをしたい場合、どうしても初見の問題が欲しくなります。
上級者の中には「どんな問題でも自分のプロセスの確認をするだけ」と考える人もいて、そんな人は初見でなくても気にしないようですが・・・
■ 過去問ポジティブ派
①バイアス排除
受験校が作る演習問題は確かに良質だと思いますが(イメージ)、その設問は過去問での出題がベースとなっています。全部とは言いませんが、模試などで「こんな設定どこかで見たことあるな」ということがあります。
当然ながらこのような演習問題の模範解答は、ベースとなった過去問の解答例における思考プロセスを踏襲したものになります。
逆に言うと、演習や模試では、ベースにしたい過去問の1設問があり、その解答プロセスに必要となる根拠を与件文や設問の条件に混ぜ込んでいるはずです。
こういった事をぼくはバイアスと呼んでいるのですが、過去問の真の出題意図と受験校の作問スタイルに乖離があるのであれば、他人のバイアスがかかっていない根拠・制約を検討できるという面では、過去問演習の方が質が高いと言えるかもしれません。
②傾向の把握
あまりクドクド書きません。
受験校の演習問題は、もちろん受験校が傾向を踏まえて作問しているのだとは思いますが、事例Ⅰ→事例Ⅱ→・・・の順番で演習を進めていくと受講生自身が出題傾向を肌身で感じることはちょっと難しいのではないでしょうか。
過去問を事例Ⅰばっかり6年分続けて解くと、なんとなく流れを感じることができます。
問われ方が少々変わっていても頻出論点は明らかにわかります。
問題を見てわからなくても、受験校の解答例を見ると、同じような結論に帰結させたりしていて一目瞭然です。
③能動的な分析の余地
受験校の演習の場合は、模範解答も採点基準もしっかりと決まっていて、なぜそうなるのかという解説を聞く・読むことになります。つまり受身になりやすい。
一方で過去問には、前に書いたとおり模範解答がありません。
あるのはいくつかの受験校が出している解答例や、合格者の再現答案だけ。
受験校が出版している過去問集では解説まで載っていることもありますが、そうでない場合には「なぜそのような解答になるのか」を能動的に分析せざるをえません。
この分析という行為がチカラになるのではないかなーと思います。
■ まとめ
つらつらと並べてみましたが、強引にかつ華麗に脈絡なく結論。
過去問やる・やらないは状況次第。 受験校に通っているならば、そこの演習に浸かってみたら。 独学だったら過去問で工夫してみよう。 |
なんというか、言うまでもない感じですが。
道場的脱力系のぼくとしては、「絶対コレ」ってのがあるわけではないし、自分の状況・得手不得手を踏まえて自分で考えるのがいいんじゃねってのが結論です。
■ 解答例
上でもそうですが、ぼくの記事では過去からずっと「受験校の解答例」という表現を使ってきました。
TACも大原もMMCもAASも、公表しているのはみんな「解答例」であって模範解答と銘打ったものではありません。(ぼくが覚えている限りでは、「模範解答」を謳っていたのはLECくらいです。なるほどLECの解答はトンガってました)
このことに気がついたとき、ぼくの過去問への取り組み方は変わりました。
「模範解答」なら、頭から尻尾までその姿をまるごと目指すべきだけど、単なる「例」なんだから「ふぅーん」でいいじゃん。いっぱい見て、気に入ったとこだけ掻き集めてマネしよう、てな具合です。
現役受験生の皆さんも、過去問を解くときには受験校の解答例をシャカリキに追求するのではなく、ちょっと脱力してみではいかがでしょうか。
というわけで、以上、を~でした。