みなさん、こんにちはうちあーのです。

今回は「過去問から学ぶシリーズ」第2弾です。
この過去問分析、実は私が通っていたTAC2次上級生コースI校の勉強会で去年2月ごろに行った過去問分析をベースとし、それにH23の私なりの分析をトッピングしたものです。
当時、過去問分析がいかに重要かを身をもって経験し、「へぇ、2次本試験ってこうなっているんだぁ」と感じました。同時に事例ごとの違いを発見して「行けるかも」って感覚も持てるようになりました。

ただ、本試験まであと7週間に迫ったこの時期にフルスペックの過去問分析をご自身でやることは決しておススメしません。
それよりも1事例でも多くアウトプット&レビューのサイクルを回すことが優先だからです。
このシリーズの意図は、本来みなさんご自身がやった方がよい(であろう)過去問分析をショートカット的に活用してもらえればというところにあります。

では、事例Ⅱの世界を覗いてみましょう!

 

◆設問文の特徴◆
1.設問数と配点
事例Ⅰは前回記事の通り「設問あたりの配点が均等割り」が定番でしたが、事例Ⅱは設問間で配点のばらつきがあります。よって、時間配分には十分注意する必要があります。
例えば10点問題はどんなに時間をかけて取り組んでも当然マックス10点。そこに時間をかけ過ぎてより高配点の問題への分析や記述時間が足りず取りこぼすとかなり痛いです。
これって案外「言うは易し、行うは難し」。特に80分間でのアウトプット量が少ないストレート生などはかなり気を付ける必要があります。
昨年度H23本試験でも「第1問で慎重になり過ぎて10点問題に10分かけてしまった」といった声が聞かれました。仮に試験時間80分のうち記述にかける時間がトータル50分としたら、残り90点分にかけられる時間が40分のみです。狙ってそうしているのであれば問題はないですが、そうでなければ明らかにタイムマネジメントミスですよね。
設問ごとの難易度にもよりますが、特定の設問で高得点を狙うよりも各設問でそこそこの点数を積み上げていった方が全体の得点は伸びると考えた方がよいでしょう。
そのためには目安として「20点問題にかける時間を10分」といったルールを決めてしまうのも手です。その上で、難易度に応じて設問間のバランスを調整していくとよいと思います。

2.字数制限
事例Ⅰが100字・150字、120字の定型タイプに対して、事例Ⅱは15、20、25、30、50、60、80、100、120、150、200字、更にH13には字数制限の指定なしの出題もありました。要は何でもアリの世界です。
このうち25字と200字はH23に初登場でした。25字の議論は置いといて、200字は解答用紙を見た瞬間ギョギョッとした人も多かったのではないでしょうか。
人によっては「字数制限が多いと大変!」と思うかもしれませんが、実際には字数制限が多い方が対応しやすいです。なぜなら字数制限が多ければ、
①その分多くの解答要素を突っ込める。(得点確率アップ
②解答候補を絞り込む必要がない。(選択する時間・労力軽減
③圧縮解答の必要がない。(編集スキルで差がつかない
から。

少し話はそれますが設問文の長さについては「短い方が楽!」と考える人もいますが、これは逆に短い方が大変です。なぜなら設問文はそのものが解答への制約条件であり、それが短ければ短いほど「制約条件が少ない」 = 「書こうと思えば色々と書けてしまう」ということになるからです。
その意味でH23第5問は、非常に差がつく問題であったと推測できます。論点としてはH22やH19でも問われた事例Ⅱのド定番、インターナル・マーケティング。設問文の数少ない制約条件を絡めて、
「従業員満足度向上」→「顧客満足度向上」→「持続的競争優位性の確立」が解答の柱(ロジック)になるだろうと思いつくのは決して難しいことではないでしょう。あとは与件文をヒントに具体的手段をできるだけ数多く発想し、その効果と共にガシガシと書いていけば得点可能性が高まったはずです。
このようにしてガッツリと点数を稼いでいる受験生がいた一方、200字問題という見せかけの変化球に焦ってしまい、第5問のみならず全体のバランスを崩した受験生がいた。真相は分かりませんが、H23における合否の分岐点の一つであったのではないかと、勝手に思っています。

3.時系列
事例Ⅰは前半で「これまでやってきたこと」、後半で「今後すべきこと」が問われ、その境界線が難易度判定の肝だというお話を前回しました。事例Ⅱも過去→未来の流れは同じですが、より未来志向です。
ただ事例Ⅰと異なり、事例Ⅱの場合は「今後すべきこと」つまり「新戦略」、「新規事業」あるいは「新サービス」を解答するにあたり、潜在顧客・市場や活用できる経営資源が与件文に具体的に書いてあることがほとんどです。
つまり、未来のことでも抜き出しで対応可能なケースが多く、必ずしも時系列だけで難易度判定はしにくいという側面があります。

4.問題要求
事例Ⅰで見られたような形式上のパターンはあまり感じられませんが、基本的にはB社の戦略に焦点が当たります。
特に、上記3に記した「新戦略」、「新規事業」あるいは「新サービス」はよく問われます。

これらに問うことによって、
「誰に」 ターゲット、既存・潜在顧客
「何を」 B社の強み経営資源
「どのように」 具体的手段
「効果」 メリット(デメリットとセットで)
を直接的・間接的に要求している、というイメージを持っておくと輪郭が掴みやすいのではないでしょうか。
逆から考えると、設問文の要求を解釈する際、常にwhom、what、how、effectを意識することをパターン化しておくと分析や解答要素の想定をする際にスピードと精度がアップが期待できる、と言えそうです。

 

◆与件文の特徴◆
1.ボリューム
H23は79行とH18以降ででした。H23事例Ⅰは51行だったので実に1.5倍強の長さです。H22も事例Ⅰ:事例Ⅱ=64行:76行と事例Ⅱの方が長文でした。
逆にH20は事例Ⅰ:事例Ⅱ=76行:66行、H19は事例Ⅰ:事例Ⅱ=74行:62行で事例Ⅰの方が長文でした。近年のトレンドから「事例Ⅱの方が与件文は長い」との印象がありますが、少し前の本試験においては必ずしもそうではなかったことに着目したいですね。
与件文の長さは、タイムマネジメント上大きな影響を受けます。個人差こそあれ人間「読む」速度は同じ精度で読むのであれば、そんなに速くはできませんのである程度時間をかけざるを得ません。となると、その前段の「設問要求解釈」か後に続く「考える」「書く」のいずれかの時間を削らなければいけませんよね。
ただ「書く」速度もそんなに速くはできませんので解答字数次第で決まってきます。よって、対応策としては
①80分のタイムマネジメント上、各プロセスの標準時間を決めておく。
②与件文のボリュームと解答字数により、標準時間を調整する。

大事なことは、1事例ごとに適切なリズムに切り替えること。これは80分で事例を解かないとなかなか身につかないスキルなので、アウトプットの際に十分注意しながら磨くようにしてください。

2.ストーリー展開
事例Ⅱの特徴としては、

・B社の概要(業種、規模、業績、変遷、経営理念など)
・B社の具体的事業内容(過去、現在)
・B社の強み、経営資源(有形・無形)
・外部環境とその変化
・顧客(既存、新規、潜在)
・競合(主に大手企業)
・直面する課題

などで与件文が組み立てられています。
これらは与件文全体に散りばめられていて、基本的には現状の記述なので事例Ⅰと比べて現在時制で書かれている部分が多くなっています。

またストーリーを単純化すると、

①(S)創業以来、B社の強みや特徴を活かして何とか業績を伸ばしてきた。
②(T)外部環境変化や大手競合の出現で雲行きが怪しくなってきている。
③(O) 新たなニーズや顧客層が現れてきている。
④業績が停滞してきている。

といった展開が主流です。

もう少し細かく見ると、
①の強みはだいたい地域密着性顧客関係性特定分野での門性きめ細かい対応、などが代表的です。
②の外部環境変化は少子高齢化域内の顧客減少、大手競合は低価格幅広い品揃えを武器にしています。

これらを踏まえて、「事例Ⅱとは何ぞや」という問いに答えるとしたら、

④を憂う経営者に対して、中小企業診断士であるあなたが颯爽と現れ、
・③に対して①をぶつけることで新たな収益を確保する。
・外部環境変化には対応し、大手競合はかわす。

てな感じでしょう。
(事例Ⅱのバイブルとも言うべき「スモール・ビジネス・マーケティング」もつまるところ大凡上記2点に収斂されますよね。)

3.文章の構成
前回の記事で書いた通り、
段落ごとに与件文の大枠を把握する。
取って付けたような文章は要注意。
は事例Ⅱでも全く同じです。

加えて言うなら「与件文において無駄なセンテンスは1つたりとも無い」ということも強く意識したいところです。
事例を作成してみると分かるのですが、上記2でまとめたような内容を約2ページ半の与件文に収めるのって実はかなり大変です。
解答の根拠に無関係なことを書いている余裕はありません。例えば、H23の「LOHASやスローフードから派生したスローライフというライフスタイルも登場」なんかは必ずいずれかの設問の解答根拠となっているはずです。わざわざ、「さらには」という接続詞で3行も費やしているセンテンスには何らかの存在意義があるはずですよね。
H23は解答用紙の総字数が540字と少なく難しい対応となりましたが、基本的な考え方としては「全センテンスを解答に活用するつもり」で事例に対峙するとよいでしょう。

 

◆「出題の趣旨」から垣間見えること◆
事例Ⅱの「出題の趣旨」を見ると出題委員が問いたい能力をH18~H22でまとめると下記の通り「分析能力」が突出していました。

一方、H23は「分析力」3つ以外に、「基本的理解力」「構想力」「提案力」といった今までになかった能力が明記されています。
それぞれの定義がはっきりとは分かりませんが、言葉尻をとらえると、
①「基本的理解力」= B社の置かれた状況やB社社長の言っていることが基本的に理解できるか
②「構想力」= 基本的理解に基づいたB社のマーケティング上の戦略を構想できるか
③「提案力」= 構想した戦略をB社社長に説得力をもって提案できるか
そして①→②→③を繋ぐのに必要な「分析力」があるか
そんなふうに読むこともできますね。

元来「出題の趣旨」は「設問文抜粋+○○能力」といった形で記述されることが多くヒントが少ないのですが、H23事例Ⅱではもっと踏み込んだ記述が見られます。
(例)
第1問  「競争戦略のパターンと内容」、「専門店の戦略構築」
第2問設1 「市場細分化理論を理解し」
第2問設2 「整合性の観点から」
など

時間をかける必要は全くありませんが、一度サラッと見ておくと出題者の考えていることがなんとなく分かった気になるかも知れませんよ。

第3問、第5問でそれぞれ「ミックス」と記載があることは興味深いです。
文脈から判断して、複数の具体案が得点要素になっていたと考えられます。つまり1本のプロモーション戦略やインターナル・マーケティング戦略を深掘りするより複数列挙の方が得点可能性が高い問題だったと言えます。
このことは、
「戦略は①~、②~、③~、である。」
といった解答パターンが0点を避けるための守備的な「ローリスク解答」ではなく、時として得点を積み上げるための攻撃的な「ハイリターン解答」となることもある、ということを意識しておくとよいでしょう。

 

◆おまけ(語呂合わせ)◆
事例Ⅱの与件文を読む際、特に気をつけてチェックしていたワードが3つあります。
1つ目は「最近」。「近年」でも「現在」でも同じです。新たなニーズ、顧客、競合の出現など最近起こった変化は解答要素として期待されることが多々ありますのでしっかりマークしておきます。
2つ目は「地域」。「地元」など地域密着性を表す内容はおさえます。大手競合に対抗するB社の強みにできます。
3つ目は「個別」。「顧客一人一人」とか「顧客との絆づくり」とかがこの類に入ります。1-to-1マーケティングなど顧客関係性として解答要素に使えます。
これらが登場した時には絶対に逃さないようにするため、3つの頭文字を集めて「さちこ」と名付け、事例Ⅱ開始時に問題用紙に書くようにしていました。
H23はB社の「専門性」もかなりキーワードになっていたので、今年受けるとしたら「さちこせんせい」をおまじないにしようかな。

 

◆まとめ◆
事例Ⅱは小売業若しくはサービス業のマーケティング事例なので初学でもなじみやすく、また解答に際しても素直に抜き出せばある程度得点が固められる事例が多いため、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの中ではストレート生が比較的早く伸びやすい事例と言えます。
H23で問われた「基本的理解力」は1次試験の知識とも考えるのでストレート生にとっては更に追い風とも捉えられます。
だからこそ事例Ⅱで注意したい点は

「与件文から絶対に離れない」

事例Ⅱは何でも書けてしまうだけに、他の事例以上に要注意。
同様に1次知識についても、マーケティング用語の定義・メリデメ・注意点などをきちんと整理するとともに、何でもかんでも書くのではなくあくまでも与件文と関係することを書く。
主観や思い込みは禁物。とことん客観的論理的に設問文と与件文に接しましょう。

これって「当たり前じゃん」と思うでしょうけど、実際やってみるとなかなかできないんですよね。
演習や模試などで80分終わった後に見た自分の解答がアイディア解答だらけだった経験のある方も多いのではないでしょうか?

「当たり前のことを80分でシンプルにやる」

これで事例Ⅰに続いて事例ⅡもA判定を獲っちゃいましょう!

 

 

Ciao!
By うちあーの

 

 

 


コメント & トラックバック

うちあーのさん、こんにちは!
「さちこせんせい」いただきました!
ありがとうございます!

ガネーシャくん様、

コメントありがとうございます!ご無沙汰しておりますが、いつも楽しくブログを拝見しておりますのでご無沙汰感がない気がします(笑)。
「さちこせんせい」、どうぞ使い倒してください。今年の事例ⅡはH20(温泉旅館)以来のサービス業かもしれません。もしサービス業が出たら特に「こ」を重点チェックですね。

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