あれ?なんか変だと思ったら、何かが起きている

「あれ?なんか変だと思ったら、何かが起きている。」僕が17年前にNYに赴任した時に、上司から最初に言われた言葉です。1993年のNYは治安の最悪期からは脱したとはいえ、まだまだ危険がすごく身近にあって、街を歩くにも結構緊張していたものです。こんばんは、JCです。
いきなり脱線してしまいました。
何が言いたいかというと、このアドバイスは事例にも大いにあてはまるんじゃないか?ということです。

今週はキーワード・切り口という視点をテーマに道場メンバーそれぞれの意見を展開してゆきたいと思っています。

◆突然の話題転換◆
与件文を読んでいると時々、突然話題が変わることがある。

 H20事例Ⅱ第1パラグラフ なおB社は、本店裏にかつて倉庫と駐車場であった土地を保有しており、その再利用を考えている。

この文章以前はB社の体制、営業サービス概要、顧客の評判を語っていたのに、「なお」で唐突に土地の話しになっているなんか変だなんか変だと感じたら、何かが起きている二次の第一歩と言う記事で、筆記試験には正解があると書きました。正解があるとすれば、それは設問文と与件文から導かれるものであるはず。必ず根拠は書かれている、あるいは巧妙に隠されていると考えてよいと思います。与件文は実はこのような根拠という解答へのヒントをちりばめた文章です。なぜ、唐突に話題を変えたのか?それは、変えた話題に盛り込まれた根拠を使わなければ、正解が作れないからだと僕は考えています。

◆目障りな言葉◆
与件文を読んでいると時々、目障りな言葉を目にすることがある。

  H17事例Ⅰ第8パラグラフ そうした管理体制が整備されない状況に対する不満が、声なき声としてA社社長の耳にも徐々に聞こえるようになってきた。

「声なき声」って何?すごく目障りで違和感のある言葉ですよね。ここは大きくぐりぐりっとまるをつけておく必要がありそうです。経営者が従業員とFace to Faceで本音を語りもせず、なんとなく聞こえてくる「声なき声」なんぞに振り回されてしまったら、そりゃうまくゆくわけないですよね。違和感がある言葉が使われる際には、作問者はわざと違和感のある言葉を使用していると考えてよいでしょう。さらっと読み飛ばしちゃった人にはわからないけど、きちんと熟読してたら、ここは気づくでしょう、僕が作問者だったら、そういう問題を作りたいとやはり思います

◆えらく詳細な記載◆
与件文を読んでいると時々、そんな細かいこといらないでしょ、と感じることがある。

  H19 事例Ⅲ 第5パラグラフ C社の本社と工場の業務内容と人員構成は次の通りである。本社は、社長ほか、総務・経理部(8人)に加え、営業部(12人)、営業管理部(5人)、DTP部(11人)が置かれ、総勢37人である。工場は、工場長ほか、総務、生産管理などの管理部が5人、品質管理(3人)、刷版(3人)、印刷(10人)、製本(11人、パート6人を含む)の製造部が27人、総勢33人となっている。工場の平均年齢は38歳であるが、本社の平均年齢は46歳と高齢化している。

すごく細かく部員の人数が記載してあって、与件文を読んでゆくなかで、そんな細かいことはいらないでしょ。なんか変だ。これだけ詳細に語らなきゃいけないということは、何か隠したいことがあるに違いない。忙しい80分の中で組織図作って人数入れたりする時間は惜しいとはいいながら、これはどうもヒントのような気がする。必要な部署に人が足りず、不必要な部署に人が大勢いる構図になっていないか。人員配置を見直すことでボトルネックになっている工程をブレークスルーすることができるんじゃないでしょうか。

◆小さな文字◆
事例Ⅳの財務諸表を見ていると時々、見落としてしまいそうな小さな文字で脚注が書いてあることがある。

  H18 事例Ⅳ 貸借対照表の脚注 注:土地・建物の取得・売却はない、また備品の取得はない。

固定資産が減価償却費以外に増えたのか、減ったのかこれにより、固定資産が重いのか、そうでないのかの重要な判断材料になります。もうひとつ、

  H21 事例Ⅱ 最終パラグラフ 【フットサル】フットサル(futsal)は、基本的に室内で行われる5人制のミニサッカーのようなもので、ピッチ(コートのこと)の広さはサッカーの約1/7~1/8である。また、スライディングタックルなどの接触プレーは禁止されているので、ジュニアから中高年、女性まで気軽に参加できるスポーツとして人気が出てきている。

確かにH21の統計資料 によると70歳以上の受験者が5名いらっしゃるので、フットサルがミニサッカーのようなもの、の説明は必要かもしれません。でもその後の「ジュニアから…女性まで…人気が出ている」という脚注は与件文を理解する意味のみにおいては本来は不要。だからここは使うべき根拠と考えたい。

◆キーワードと切り口◆
ここでいうキーワードとか切り口っていうのはいわゆるSWOTだとか4Pだとかそういうことなんだけど、与件文の中に切り口を見つけて、そこを頼りに解答を作れっていう人もいる。でも僕は反対。そんなことをしなくても、与件文をしっかり診てゆくことで、解答を導き出す根拠は見つかるはず。SWOT分析が必要だと作問者が考えるのであれば、それは必ず第1問で◆社の強みは何かという問題を出していると思うんですよね。自分のお作法の中には何はともあれまずSWOTからということは全く考えませんでしたね。設問文と与件文を熟読し、根拠を拾い上げて、整合性・論理性を整えたうえで、4Pに沿って語るということは大いにあり!だと考えますが、先に4Pの目線で与件文を読みに行くということはしたことがありません

さて、今週末はいよいよT○Cの公開模試です。初学者の方も経験者の方も、本試験と同じ気持ちで80分を戦ってみて下さいね。でも、模試はあくまで模試現在の自分の立ち位置を確認することと、どの時限でどのくらい疲れるか、疲れた時には休憩時間にどうすごすか、何を持ってゆき、何を食べるか、じっくり検証する絶好のチャンスです。実は一次模試の時にも同じことを言ってます。試験科目は異なるものの、模試というのはあくまで、本試験の練習の場ととらえましょう。

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あれ?なんか変だと思ったら、何かが起きている”へ2件のコメント

  1. JC より:

    まさ様

    コメント頂き、ありがとうございます。
    事例を解くたびに、何かしらテーマを決めて取り組むと良いですよ。去年の今頃の僕は「設問文の読みに倍の時間をかける」とか毎回のテーマを決め、使えると感じたら、自分のお作法にするということをやっていました。「頭が悪い」のでは決してなくて、まだ慣れてない・取り組みのスタイルが固まっていないということだと思います。

  2. まさ より:

    いつも為になる記事ありがとうございます。
    模試へのいき込みですが、学習すればするほど、正直なとこ自信喪失気味です。一次とはまったく逆ですね・・・。
    演習や過去問、市販テキストで対策してますが、まったく解答がかすらない時も多々あり、
    「頭わるいな~」とへこむこと多いです・・・。

    とにかく記事を参考にさせて頂き、模試に向けて全力投球でがんばります!

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