【法務】現場対応力って何?

いつかできることは、すべて今日でもできる。
(ミシェル・ド・モンテーニュ)

みなさん、こんにちはうちあーのです。

昨日で1次試験の申し込みが締め切られました。昨年は21,145人の申し込み(うち受験者は15,803人)がありましたが今年はどうなったでしょうか。
いずれにせよ、役者が出揃いました。あと残り60日は1日、1時間を大切に集中していきましょう!

怒7も残すところあと2科目。今週は法務WEEKです。
3月26日の記事では、橋げたの骨組みをがっちりと作りましょう、というお話しをしました。

完成答練前の1週間は、この骨組みにしっかりと肉付けをして橋げたを完成形に近付けていく時期になります。
橋げたの完成には、各論点の知識を確実に身につけていくことが大事ですが、残念ながらそれだけではなかなか得点に繋がりません。
なぜなら、過去問から明らかなように、本試験ではケース問題複合問題がほとんどであり、持っている知識をそれぞれのケースに当てはめたり、組み合わせなければ答えがでないからです。
これらの問題に対して正答を導き出すためには、現場対応力が必要だとよく言われます。

◆現場対応力って何?◆
「現場」とは本試験会場、「対応力」とは目の前の問題に対し、頭の中にある知識を適切に組み合わせたり類推したりして応じる力、という風に考えます。この力、言うは易しですが実際に磨くのはとても難しいです。理由は2つ。

まず、本試験会場の独特の雰囲気と緊張感は本試験でなければ経験することができないから。当然のことながら、今年初めて1次試験を受けるストレート生にとっては、本試験の現場を事前に経験することはできません。
対策としては、完成答練や模試の場を利用して出来る限りガチ本番モードで臨むことが肝要です。他社模試会場受験で数多く受けることでアウェー感に慣れておくのも良い方法です。
この点、受験経験のある複数年受験生は圧倒的に有利。本試験の現場を既に知っていることはそれだけで大変貴重であり、本年度の受験に最大限に活かしたいものです。具体的には、過去の本試験問題を引っ張り出して残されたメモなどを確認しながら、設問ごとにどのような対応をしたのか、どうすれば60点以上を取ることができたのか、今の直前期に何をすればよいか、を徹底的に分析・追究することで現場対応力を高めることが可能です。

もう1つの理由は、問題そのものの性質上、どんな問題が出るかの予測がつかないから。ケース問題にしても複合問題にしても、ストーリーの状況設定や使う知識の組み合わせは無限なので対策が立てづらいところに難しさがあります。
対策としては、各論点・各知識をテキスト通りに丸暗記するだけではなく、それぞれの特徴、長所・短所、類似点・相違点を様々な切り口比較したり、纏めたりすることで引き出しを増やしておくトレーニングが必要です。

ここまで、現場対応の難しさとそれを克服するための対策を述べましたが、ここでH23年度本試験の現場対応の実例を一つ示したいと思います。
特に、本試験経験のないストレート生に少しでも現場の具体的なイメージを持って頂ければと思います。

◆現場対応~うちあーのの場合◆
まずはH23年度本試験の結果データから。

得点  :71点/100点
Aランク:16点/ 16点(得点率:100%)
Bランク:30点/ 38点(得点率: 79%)
Cランク:25点/ 33点(得点率: 76%)
Dランク: 0点/  13点(得点率:   0%)
Eランク:該当なし

※ランクはTACデータリサーチによる。全体のデータ分析については昨日のを~の記事を参照願います。

Dランクは見事全滅の3タコ。その一方でAランクは4打数4安打と取りこぼさず素点を固め、天下分け目のCランクで合格ライン越えしました。全24問ですが、ここではその中で合否のポイントとなったCランクに絞り、現場でどのように対応したかを列挙します。

第1問
・毎年第1問はいやらしい問題が出ていることもあり、最初の全体俯瞰&難易度判定時に△マークを付け解答は後回しに。
・◎および○マークを解き終わった後、中盤くらいにこの問題に着手。
・エの「現物出資の総額650万円を500万円まで減額し検査役の検査を不要にしよう」というのは基本論点に合致。
・アは聞いたことない、イはDが利害関係者だからありえない、ウは「A、B・・・の検査が不要になれば」の前提条件が意味不明なので×。
・よってエ。→正解
※利害関係などの常識を考慮すれば、選択肢が絞れることが多々ある。

第2問
・これも登場する企業数が多く、利害関係を整理するのが大変そうだから△マークで一旦後回し。
・B社はX社に対する債権がY社に移るので、当然債権者保護手続きが必要。
・アかウに絞られる。
・C社の記述は読む必要無し。時間短縮。
・「承継会社の債権者は常に債権者保護手続きが必要」との知識が曖昧で、結果アを選択。→不正解
※不正解だったが、時間を短縮できたことが収穫。

第4問
・難易度判定は、見た目厄介そうだったので△。
・着手時に「一見難問そうだけど実は単純、といった問題は過去問でもあったなぁ」と考えた。
・ごちゃごちゃと数字が並んでいるけど、要は民事再生と会社更生の可決要件を聞いていることに気付き、サブノートに纏めていたこの表を頭の中で引っ張り出す。

・ピンポイントでエを選択。→正解
※どの知識を使うかを判断し、引っ張り出すことができれば効果的に得点できる。

第5問
・穴埋め問題、選択肢の構造も単純なので○マーク。
・「あなた」の第2発言「本当は会社法上の機関ではないのに」及び第3発言「法律上にこれといった根拠があるものではなく」に着目。
・会社法上の機関である「執行役」はAにもBにも入らないと判断し、アを選択。→不正解
※第2発言「本当は会社法上の機関ではない」のは執行役そのものではなく営業本部長のことらしいが、この日本語が本試験中には理解できなかった。

第6問設2
・知識問題っぽいので○マーク。
・会社法上の意思決定機関を纏めたサブノートの表を頭の中で引っ張り出す。

・譲渡制限株式の譲渡による取得の承認機関は、取締役会設置会社の場合取締役会であることから類推しエを選択。→正解

第8問
・過去問で類題があったのを思い出し、○マーク。
・商標の国際登録関連で、パリ条約とマドリッド協定が記憶に残っていた。

・パリ条約は相当古く、各国にて申請を出さなければいけないものであった。
・2者択一の消去法でウを選択。→正解

第11問
・TACが常にマークしていたウィーン売買条約に関する出題なので○マーク。
・アの記述が正しいことがピンポイントで分かった。→正解
・念のため他の選択肢も流して読んだがどれも正解ではなさそう。

第16問
・新興株式市場に関しては、新ジャスダック絡みで出目中の出目。◎でもよいが見慣れない形式だったので○マーク。

・2009年でグラフが終わっている③がヘラクレスなので、イかウ。
・マザーズと比べて規模的に大きいジャスダックが①であろう。
・②は1999年から始まっているのでマザーズであろう。
・よってイを選択。→正解

◆まとめ◆
繰り返しになりますが、現場対応力とは「本試験会場において目の前の問題に対し、頭の中にある知識を適切に組み合わせたり類推したりして応じる力」と定義しました。
また、前提条件として「試験時間内で」ということが加わりますので、解答プロセスの固定化やタイムマネジメントの確立がなされていれば、より現場対応力を発揮しやすくなります
これらを踏まえて、本試験で現場対応力を発揮するために今からできることを洗い出しを行い、今回のまとめとしたいと思います。

(今からできること1)
完成答練や模試の場を利用して出来る限りガチ本番モードで臨む。
(期待効果1)
現場の緊張感を疑似体験しておくことで、本試験での解答プロセスやタイムマネジメントを確立できる。

(今からできること2)
他社模試を会場受験で数多く受ける。
(期待効果2)
アウェーの状況に身を置くことで、普段と異なる状況や出題形式等に慣れ、また不測の事態への心構えもできる。

(今からできること3)
複数年受験生は、過去に受験した本試験問題を引っ張り出して当時の現場対応がどうであったかを分析・追究する。
(期待効果3)
当時と現段階の自分の現場対応力、解答プロセス、タイムマネジメントを検証でき、本試験までに改善するチャンスがある。

(今からできること4)
過去問での頻出論点、法改正等があり旬な論点をオリジナルの串刺しマトリクス等を使って纏める。
(期待効果4)
複数の知識・論点を組み合わせたり比較する練習になり、また本試験での引き出しが増える。

(今からできること5)
答練や模試で間違った問題、自分が弱点だと思う論点・知識を纏める。
(期待効果5)
上記4と併せて、本番までの暗記ツールにするとともに、本試験会場でのファイナルペーパーとなる。

ふうじんがこの記事■科目別暗記の仕方を使い分け ~状況対応能力■で示している通り、経営法務は主要論点を確実に理解する暗記方法が有効。ひたすらアウトプット⇔インプットを繰り返すのではなく、

アウトプット⇔整理(比較、纏め)⇔インプット

していくと得点に繋がりやすくなると思います。

=====

それでは、今日はここまで。

 

Ciao!
By うちあーの

 

 

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【法務】現場対応力って何?”へ2件のコメント

  1. まな より:

    うちあーのさんお疲れさまです。

    今年は1次受験生、何人ぐらいになったんでしょうね。
    しばらく増え続けるでしょう。とっとと合格しなきゃ。

    法務の勉強ノート、きちんと整理されていたんですね。
    変わらない達筆な文字。美しいです。

    1. うちあーの より:

      まなさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      以前の記事でも書きましたが、最近のテレビや新聞などでの取り上げられ方、診断士人気を考えると今年の受験者数は増えそうな感じですね。
      それにしても、1次試験に申し込んで結局受験をしなかった人が5千人以上いるというのある意味驚きです。
      ともあれ、まなさんのように愚直に準備を重ねていれば怖いものなし、当日は「合格する手続きをしにいく状態」に仕上がるよう、上手に調整してくださいね。

      法務のノートは、私が受験当日の現場対応時に頭に浮かんだものをリアルに示したいと思い掲載させて頂きました。
      文字については、、、直前期に書いたものはかなりウネウネしちゃってます(笑)。まぁ、それはそれで印象に残り易く、本番で引き出せたのでよかったですが。

      引き続きがんばって!心より応援しています!!

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