【法務】「身近なところ」から特許を理解しよう

みなさんこんにちは、コニケンです。
いよいよ三月最終週ですね!職場で部署の異動が発表された方もいらっしゃると思います。私の職場でも、来週から大幅な組織変更があり、フロアも移ることになりました。引っ越し隊長に任命されたので、何とか無事終わらせないと思っているところです。。
さて、前置きはそんなところにしておいて、「法務強化週間」の一環で、今日は「身近なところから特許を理解しよう!」というテーマで書いてみます。二週間前に、 「経営法務の3×3」のタイトルで、初学生向けの導入編として、この科目の特徴や心掛けたいポイントについて書いてみました。今回は角度を変えてみて、特許を「より身近なものに感じる」ことで、理解度を上げることを主眼に置いてみます
おそらく読者の大半の方は特許を「身近なもの」とは感じていないと思います。しかし、そうでないとテキストに記載されている内容や、授業で先生が説明して下さっていることにも興味が湧いてこないですし、理解度もなかなか上がりませんよね?これはどの科目のどの分野にも共通することです。裏を返せば、今まで縁が無かったものに興味を持ち、自ら深く掘り下げていくことで、自分の視野が広がっていくと同時に、試験対策で問題を解くことなんか全く苦で無くなります
初めに言っておきますが、私は製造業でエンジニアをやっている関係で、今回のテーマである特許に関しては、実は元々身近なものではありました。入社してからも、合計三件出願しています(残念ながら、まだ採用されたものはありませんが…)
しかし、逆に私にとっては、同じ経営法務でも、会社法や民法などは、基本的なところを除いて無縁でしたし、診断士試験の柱でもある財務・会計も、実務で自分で手を動かしたことなど一度もなく、正直最初は気持ち的にもハードルが高かったです。(工学部出身のくせに、情報システムだってそうでした)
今回伝えたいのは、最初はそういう状態でも、見方や意識の持ち方を少し変えるだけで、理解度がグンと上がり、試験においても目に見える形で成果が表れるということです。以下、具体例として特許に関するトピックスを書きますので、何かのきっかけになって頂ければ嬉しいです。

まずは特許について簡単におさらい
過去の記事や、テキストにも書いてあるので詳細については触れませんが、ここで改めて簡単におさらいしましょう。
特許を上手く活用して、企業(特に製造業)として競争力を保っていくには、一言で言うと
「創る⇒守る⇒活かす⇒創る⇒…」
のサイクルを回すことが大事になります。研究開発を行った成果を、しっかりと権利として保護し、それを戦略的に活用することで、投資を回収する。この環境をしっかりと整えていくことは、大企業にとっても中小企業にとっても共通して言えます。逆に、これができないと一瞬にして競争力を失って、事業から撤退せざるを得ないこともあるのは言うまでもありません。もちろん、時には日本国内だけでなく、国際的に押さえることも重要になります。
特許になる要件(大前提)として以下が挙げられます
①自然的法則を利用した技術的思想の創作で高度なものであること
②産業上利用できること
③新規性があること
④進歩性があること
⑤明細書の記載が規定通りであること

それぞれ、どういう場合に当てはまらないか(例えば、どのようなものが「新規性が認められない」か)については、同じく詳細について触れないので、各自しっかりと押さえておいてください。間違いなく試験に出るポイントにもなります。補足ですが、特許に関しては審査主義であること、先願主義であること(先発明主義ではありません)を併せて押さえるとともに、実用新案との比較も確実に頭に入れておいてください。

さて、今回の本題である<身近な>事例およびそこでのポイントを5つ挙げます。以下、「さらに知りたい!」という方は是非気分転換や通勤中にでもネットで調べてみてください。しつこいようですが、テキストを丸暗記するのではなく、好奇心を持ち、このような実例にも興味を持って、理解度を上げていくことが何よりも大事ですし、合格への近道でもあります!

●地下鉄マップ
まずは手ごろなところから。地下鉄の駅のホームで、「あの駅は何号車に乗れば出口が近い/乗り換えが楽」ということがビジュアル的に一目瞭然になっているポスターが貼ってありますよね。あれはお子さんがいらっしゃる主婦のアイディアから生まれました。荷物を持ち、お子さんをベビーカーに乗せている中、運悪く、エレベーターに乗るためにホームの端から端まで歩かなければいけなかったそうです。その際、「予め出口が分かっていればどれほど楽だろう」という発想から、ご自身で全駅を調査して(!)、ポスターの原案を作成して売り込んだ結果、今では無くてはならないあのポスターが誕生しました

<ポイント>
日常的に困っているところに特許のヒントがあること。企業だけではなく、一個人からもこのように特許が生まれる可能性があるくらい身近なものであること。

●雪見大福
長年の大ヒット商品である「雪見大福」。パッケージをじっくり見たことありますか?実は上に「特許第○○号」と小さな文字で書かれています。今では当たり前のように親しまれていますが、よく考えてみたら、低温でもいつもモチが硬くならず、ふんわりモチモチしているというのは、そう簡単に実現できたことではないと思います。これを実現できたからこそ、特許になり、同業を寄せ付けないユニークな商品になったわけです。実際、最初の特許が1981年(私が生まれた年!)に登録されました。その後、20年が経って権利が切れた際(←テスト頻出!)、メーカーは、改良特許としてすぐに出願しました。今日はその新しい特許が登録されていますが、それが登録されるまでは、数年間「特許出願中」と書いてあったため、ちょっとした話題にもなりました。

<ポイント>
一見不可能と思われることを実現できたら、そこにヒット商品が生まれるということ。20年で権利が切れたら、改良特許で押さえ続けることも可能だということ。

●コダックvsポラロイド
今ではデジカメに押され気味ですが、もう30年前にもなるインスタントカメラに関する訴訟です。コダック社が、ポラロイド社の特許を侵害したとして訴訟が起き、敗れたコダック社は、賠償金として約1000億円と工場の閉鎖と事業の撤退を余儀なくされました。特許の効力の強さ、それを何がなんでも守ろうとする企業の姿勢(もちろんものすごくだいじですが)は本当に恐るべきものがありますね。万が一、主力製品でこのようなことが起きたら、このように企業存命の危機に立たされます。診断士としても、この分野の基本的知識をしっかり理解した上で、クライアントの競合他社の関連しそうな特許もしっかり見ていかなければいけません。

<ポイント>
侵害訴訟の結果次第で、工場閉鎖・事業から完全撤退せざるを得ないくらいの事態に追い込まれる可能性があること。権利取得の際、どこまでの範囲を押さえるかがポイントとなること。

●コカコーラ
世界中どこに言っても飲めるあのコカコーラ。しかし、そのレシピが金庫に保管され、社内の本当にごく一部の人にしか公開されていないことも結構有名な話です(どうやら解明を挑戦しようとしている人は多いみたいですが、完全に解けた人はきっといないでしょう)特許は出願すると公開されますが(←ポイント)、模倣回避のため敢えて出願せず、ノウハウとして持っておくことでも、このように他を寄せ付けない大ヒット商品で世界のトップブランドの一つとして君臨し続けれるケースがあるのです。
出願して、登録後維持するのも当然お金がかかるわけですし、本当に出願すべきかどうかは長期的な視点を持って戦略を立てなければいけませんね。

<ポイント>
必ずしも特許として技術をすべて公開することが成功に繋がるわけではないこと。ノウハウとして秘匿にしておいた方がむしろ良い場合もあること。

●ファストパス
最後に、Dランドに行かれたことがある方は、必ず使っているはずのあの便利なファストパス。これも実は特許なんです。(実は、私は40回近くDランドに行ってますが、これに関しては今回色々と調べていたのをきっかけに初めて知りました…)これは、実際本文を読んでみると、「従来の技術の項目」より引用:「客は並んで待つが、これを好む客はいない。後になって列ができていないときに戻ってくるほうがようほどよいと思っている」と書かれています。本文は大抵堅苦しい文章ですが、とても感情的で思わず納得してしまいました。でも、これがあるからこそ来園者は満足度がアップし、自分みたいな(?)リピーターが増えて、毎年のように最高益を叩き出しています。さすがDですよね。余談ですが、僕が大好きな別の某遊園地は、優先権を単純にお金で買い取るシステムになっています。さすがにこれは特許にはなっていない!?

<ポイント>
顧客目線で、解決すべき課題に特許のヒントがあること。大成功を収めている夢と魔法の国も実は特許で溢れていること!

いかがだったでしょう?少しは興味が湧いてきたでしょうか?試験の頻出ポイントも点在しているんが分かりましたか?どの科目もこんな視点で学習できたら、楽しいと思いませんか??たとえば経済学とかでも、このような視点を持って是非見直してみてください。
最後にクイズですが、特許出願件数で、日本は世界で何番目かご存じですか??(答えはまた今度!)
次はいよいよ中小企業・政策ですね。学習一巡目の終わりが見えてきました。桜の開花を楽しみつつ、今週も残り頑張っていきましょう

byコニケン

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