経営情報システム:データ分析による傾向と対策

こんにちは。ハカセです。

今週からは「情報」の完成答練週間。いよいよ「暗記3兄弟」の登場ですね。中小企業診断士を目指す人はSEが意外に多いため「何とかなるだろう」という全体の雰囲気もあります。一方、経営コンサルタントを目指す文系出身のビジネスマンにとっては、「完全アウェー科目」。よって、注力の度合いが人によって大きく異なる科目 でもあります。

そんな中、昨年の出題傾向が一変。大変なことになりましたね。SEも安穏としていられなくなったという状況でした。

◇ 合格率・クリア率 ◇

まずは科目合格率。

(データ出典:中小企業診断協会)

傾向は一目瞭然。科目合格率は年々低下。昨年は遂に5%未満です (>_<)。これは、

「経営情報システムを受けた受験生のうち、総合成績で不合格になったけど、科目合格を果たした人(=60点取った人)が3.8%しか居なかった」ということになります。

科目合格率は、「総合成績で不合格になったけどその科目が60点を超えた人の確率」なので、実は余り意味を成しません。そのため、道場では「科目クリア率」を算出しています。

「科目クリア率」= (試験合格者+科目合格者) ÷ 科目受験者

(データ出典:中小企業診断協会)

繰返しになりますが、「科目クリア率」とは、上記計算式で算出する、「当該科目を60点以上取れた人、または他の科目でカバーできた人」の割合です。正確な数字ではありませんのであくまでも参考値ですが、これを見ると、こちらも 一昨年以来、一貫して下落傾向。でも、「60点取れたかどうかはともかく、試験には合格できた(=他の科目でカバーできる範囲だった)」という人が30%程度いた、ということですね。この30%というのがどれぐらい高い数字かというと・・

↑ 上記から分かるように、例年の情報の「科目クリア率」は50%を超えていますから、今回の科目クリア率が極端に低いのが分かります。昨年のほかの科目の科目クリア率と比べても、かなり低いですよね。

◇ 出題のバランス ◇

まず、「IT基礎知識」「ソフトウェア開発」「その他」という具合に大枠での分野別出題数を見てみましょう。

このように、分野別出題数のバランスは大きな変化がないことが分かります。満遍なく出際されているということですね。

◇ 分野別の出題数推移 ◇

まずは分野別の出題傾向の確認。

このように、「IT基礎知識」の分野はバランスよく出題されているのに対し、「IT基礎知識以外」の分野は出題数に若干の増減があります。

具体的には、「IT基礎知識」の分野では、PC関連知識の出題が安定的に多く、「IT基礎知識以外」の分野ではプログラム言語の出題が減少する(ネタ切れでしょう)一方で、ガイドラインその他(含む新用語)の出題が増加傾向です。

◇ 難易度 ◇

では、それらのうち、どこに注力すればいいのか!

まず全体のABCDE難易度の分布を見てみると・・・

(データ出典:TACLEC )

このように↑、AB難易度の減少傾向が顕著です。そして、2009年度はD難易度の問題数が最も多い! これじゃあ、科目合格率も平均点も高くならないはずですよね (>_<)

これを細かく分野別に分解すると、

このように、IT基礎知識の分野の正答率が相対的に高いです。「その他」の分野の正答率も上昇しましたが、実情として対策するのが難しいですよね。

◇ 分野別の難易度比較 ◇

具体的に、さらに詳しく分野別の難易度も見てみましょう。

非常に「分かり易い」傾向ですね。

「ITの基礎知識」の分野はバランスよく出題され、かつ、AB難易度が安定的に存在します。一方で、昨年はD難易度の問題が数多くありました。これは「TACテキスト」でカバーしてない用語が出題されたためと思われます。

一方で、「ITの基礎知識以外」の分野は、出題数もムラがあるし、難易度もばらつきがある(むしろ難易度が高い問題が多い)ことが一目瞭然です。その中でも、「ソフトウェア」の分野が出題数も多く、難易度も比較的低いかな。

◇ 傾向と対策 ◇

上記からわかったことは、

  • 情報は難しくなっている。
  • SEといえど、油断は禁物。「科目免除も可能だけど貯金科目に・・」と目論んでいる方。慎重に対応を。
  • 完全アウェイの方、メリハリをつけた学習が必要になりますぞよ。

しかし、一方で、

  • 「IT基礎知識」の分野はバランスよく出題され、かつ、相対的に難易度が低い。
  • 「IT基礎知識以外」の分野では、「ソフトウェア」の出題が多く、難易度もやや低い。

よって結論。

  • 「IT基礎知識」に注力せよ。
  • 「IT基礎知識以外」の分野では、「ソフトウェア開発」に注力。
  • とにかく AB難易度 + C難易度までをしっかり自分のものにする。

ということが言えるかもしれません。

◇ おまけ ◇

最後に、道場執筆メンバーの昨年の答練成績を大公開。皆さんの「目標得点」を設定する際の参考にしてください!

SEのZonEはさすがの高得点。それ以外の4人の「超文系」は、一部乱高下があるものの、答練期は概ね「貯金科目」にしていました。その貯金がものをいって、本番では幸いにも40点を割り込まずに済んだ、という状況ですね。

ではまた!

by  ハカセ

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経営情報システム:データ分析による傾向と対策”へ4件のコメント

  1. kengineer より:

    いつも面白い分析、興味津々で拝見してます。

    今年は簡単になるのですかね・・
    経済学・経済政策の易化傾向を補うために、今まで簡単すぎたこの科目にしわ寄せが来たのではないかと邪推しています。
    なので、今年もそこそこ難しいのではないでしょうか?(あるいは他の科目に飛び火?)

    色々考えてもしょうがないので、道場の80x80理論に則って、コア論点に集中して勉強していきます。

    それでは、皆様引き続き良質な記事を期待しています(と、プレッシャーをかける)

    1. ハカセ より:

      kengineerさま。いつもありがとうございます。ブログ拝見してますよ! 順調ですね! (^O^)/
      なるほど。経済と情報でバランスを取るつもりなら、そうかもしれませんね。でも、ずーっと情報が難しいと、情報が不得手の人がずーっと合格できなくなってしまいます。診断士試験は専門性を追及する試験ではなく、しかも国家資格ですから、特定の人が不利になるような難易度にはしないと思います。よって、基本的には難しい翌年は簡単にすると思います(程度の差はありますが)。(よって、簡単な年の翌年は必ずしも難しくならない) とはいえ、難・易にかかわらず、kengineer さまがおっしゃるように、やることは 80・80 などいくつかに収斂されるんですけどね。引き続きよい記事を書きます(書くように努力する)ので、時々遊びに来てください! 引き続き頑張ってください!

  2. ZonE より:

    ハカセ、いつも分かりやすいデータ分析、ありがとうございます。
     
    昨年の経営情報システムを受験した感想(私見)としては、
    ・知識が深いとかえって迷う、玄人泣かせの問題が出題
    ・誰が解けるの?…って感じの難易度の高い問題が出題
    といった一方で、
    ・皆が解ける難易度の低い問題も、相当数出題
    されている印象を受けました。
     
    つまり、難易度の低い問題をきちんと抑えれば40~50点を確保することは可能だが、SEでも高得点を狙うのは難しい…という問題構成になっていたわけです。
     
    ちょっとヤリ過ぎ感は否めないので、今年はかなり易化すると予想されますが、SEでも高得点を取れない工夫は多少盛り込まれると思われます。
     
    SEの受験者の中には、この科目で20~30点の貯金をしよう…と目論んでいる方も多いかと思いますが、ナメてかかると(私のように)痛い目に遭う可能性があります。
     
    私の場合、さらに悪いことに、暗い気持ちを引きずって、午後の中小企業経営・政策もボロボロ…と悪循環に陥ってしまったので、皆さんには同じ轍を踏んでいただきたくないと思います。手応えが悪い可能性もあるぞ…と覚悟しておくだけで、気持ちの切り替えは容易です。
     
    気づけば、もう6月。引き続き、頑張ってください。

  3. ふうじん より:

    ハカセのデータ分析、今回もわかりやすい!
    昨年なぜ「情報」が難化したか、そしてどう対策すべきかが明らかですね。
    あ、注力すべき「ソフトウェア」の記事は、私が土曜日投稿予定か。重責でドキドキします。

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