ベンチャー企業の設立時に診断士が注意すべきこと

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はじめに:新元号と診断士の教養

こんにちは、どいこうです。過去記事はこちら

読者の皆様もご存知のとおり、今年(2019年)の5月1日に現在の皇太子であられる徳仁親王殿下が第126代の天皇として即位されます。これに伴う新たな元号は「令和」と定められることが先の4月1日に決定しました。

このニュースを契機として、皇室や元号、さらには「令和」の出典となった万葉集への関心が大いに高まっています。私も、自国の文化や伝統を大切にする機運が高まることはたいへん素晴らしいことだと思っています。

これに関連して私も大切な事項に言及します。皇族の方々への敬称についてです。天皇陛下と皇后陛下の敬称については皆さんご存知だと思いますが、その他の方々についてはどうでしょうか?

皇族への敬称は皇室典範の第23条で明文の規定があり、皇太子殿下、皇太子妃殿下、◯◯宮◯◯親王殿下、◯◯宮〇〇内親王殿下などとお呼びします宮内庁サイトマナー教室のサイトにも掲載がありました。

ところが、テレビ・新聞等が、この日本の文化・伝統に基づく法規に違反して「◯◯さま」などと表記している事例が頻繁に見られます。これは違法行為であって、マネをすべきではありません。教養ある識者は「マスメディアがなしくずし的に日本の文化・伝統を破壊し、特定の方向に誘導している」と指摘しています。私も同様に、一体何の権限(そして意図)があって、こんなことをするのかと疑問を感じる一人です。「今さら聞けない皇室のこと」という本には、この件の経緯を含めた記載がありますので、よろしければご参照ください。

経営者には教養水準の高い方が多いです。このため、経営者と話す立場である中小企業診断士は、仕事ができるだけではなく、社会人としての教養も高める必要があります。マスメディアを盲信していると、「この人はものを知らないな」と思われてしまいます。「さすが◯◯先生は教養がおありですね」と言われるよう、日頃から物事を自分の頭で考える習慣をつけたいものです。

ベンチャー企業と資金調達

さて、今日はベンチャー企業に関するテーマを取り上げます。試験科目でいうと経営理論および法務に絡むでしょうか。背景には、私が現在、ベンチャー企業の設立に関する支援をしている経緯があります。

ベンチャー企業は、最近では「スタートアップ」とも呼ばれます。小さな資本でスタートし、ベンチャーキャピタル(VC)等から新株発行により出資を受けた上で事業の価値を高め、上場(IPO; Initial Public Offering)やM&A(株式売却等)による利益確定を狙います。

ベンチャー企業はなぜ出資を受けるのでしょうか。それはベンチャー企業の多くはお金が足りず、借入が難しいからです。

①まず、お金が必要な理由です。技術を基にしたイノベーションを実現するために、研究開発から事業化までのプロセスにおいて乗り越えなければならない障壁があります。このうち特に「死の谷」は売上がない状態で多くの資金が必要となるため、資金調達の必要性が高まります。

魔の川(Devil River)
魔の川は、基礎研究と応用研究の間に直面する障壁です。技術シーズの社会的な有用性が識別しにくいことが課題となります。

死の谷(Valley of Death)
死の谷は、応用研究から製品開発の段階で直面する障壁です。製品の開発・製造・販売に必要となる資金や人材などの経営資源を適切に調達することが課題となります。

ダーウィンの海(Darwinian Sea)
ダーウィンの海は、事業化後に直面する障壁です。事業を継続するには、競争優位性を構築し、ライバル企業との生き残り競争に勝つことが課題となります。

②次に、出資を受ける理由ですが、企業の資金調達には2種類があります。銀行や投資家からの借入(Debt Finance)と主に新株発行による出資(Equity Finance)です。

すでに収益が安定している企業の場合は借入の余地があります。ですが、事業化前や事業化直後のベンチャー企業は売上がなかったり、売上があっても非常に小さかったりしますから、銀行がなかなかお金を貸してくれず、社債も買い手を探すことが困難です。

このため、資本コストは高くなってしまうのですが、新株発行による資金調達が行われます。ベンチャーに出資する投資家をエンジェルやベンチャーキャピタルといいます。

ベンチャー企業の会社形態は株式会社がメイン

先に見たように、ベンチャー企業の多くは設立後に出資を受ける(増資する)ことを前提とします。このため、通常は株式会社の形態を取ります。出資者の責任が「有限責任」であるからであり、同じく出資者全員が有限責任である「合同会社」では、新株発行や上場ができないためです。

合同会社を選択した場合、設立費用・運営費用が安い等のメリットがあります
設立時の登録免許税等が安い(株式会社は20万円、合同会社は6万円と大きく異なるようです)
決算公告義務がなく、官報掲載や電子公告が不要
出資者全員の合意のうえで、利益の配分を自由に決められる
役員の任期がないため、重任登記(および登記費用)が不要

一方で、合同会社には上場できないなどのデメリットがあります。
企業として信用されないケースがある
社員の退社等によって、会社の資本金が減少する場合がある
新株発行や株式の上場ができない

設立時に増資のめどがたっていない場合には、経費が安くすむ合同会社でスタートすることも可能です。そのままでは新株発行や上場ができませんが、増資が決まったタイミングで株式会社へ組織変更することは比較的容易です。

公開会社と株式譲渡制限会社(非公開会社)

設立したばかりの株式会社は、人員にも時間にも余裕がありません。そこで、多くの新設会社は、可能な限り簡素な機関設計を採用したいと考えます。「取締役会やる時間がない」、「監査役に払うカネなどない」という具合です。

そこで採用するのが、「株式譲渡制限会社」です。「株式譲渡制限会社」とは、会社が発行している株式の全部に対して、自由に譲渡できないように制限が設けられている会社のことです。「非公開会社」と表現されることもあります。

株式譲渡制限会社の主なメリットは、運営の負担を軽減できるこなどです。
取締役会や監査役の設置義務がない(ただし、株主総会と取締役は必須)
役員(取締役・監査役・会計参与)の任期が最大10年まで伸長可能(重任登記の頻度を減らせる)
利益配分や議決権に関して、株主ごとに異なる取り扱いを行うことができる

具体的な手順としては、会社定款の中に、「自社株式の譲渡をする際には、取締役会あるいは株主総会による承認、代表取締役による審査・承認が必要となる」という旨の規定を加えます。

なお、株式譲渡制限会社ではない会社では、株式譲渡に関して特に制限が設けられておらず、自由に株式を売買できます。これを「公開会社」といいます。

公開会社はより透明性を確保する要請があるため、運営の負担は相対的に重くなります
取締役会や監査役の設置義務がある
役員任期を伸長できない(取締役・会計参与は2年以内、監査役は4年以内)
利益配分や議決権に関して、株主ごとに異なる取り扱いを行うことができない

おわりに

本稿には、経営法務に関する記載をしましたが、(ご多分に漏れず)私も経営法務は苦手科目でした。間違いが発覚したらすぐに修正しますのでご容赦ください(弱気)。

先日、いよっちも書いていましたが、法務は基本的には専門家(会社設立の場合には司法書士)に依頼しますので、マニアックにいろいろ覚える必要はありません。ですが、主要な論点がモレていないかを確認できることは非常に重要だと思います。実務に必要な範囲で、概略を頭に入れておくのがよいかと思います。

 


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