事例Ⅳ~も、中小企業診断士として助言せよ
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事例Ⅳ~財務のツボ
おはようございます。よこよこ@バブル受験組です。
いよいよ10月ですね。この苦労も、あと20日で実を結びます。悔いのないように頑張ろう!
さて、試験を真近に控え、血へどを吐くまで頑張っている受験生さんに言うのもなんですが・・・・診断士に合格後してからも勉強する機会はたくさんありますので、楽しみにしてください(笑)。
私の所蔵する東京の診断士協会にも、プロコンサルタント養成講座や各種研究会が沢山あり、合格後も各々スキルアップに取り組んでいます。私は東京協会城北支部のプロコンサルタント養成講座に参加しています。そこで、診断士が押さえるべき財務ポイントをいくつか勉強して目からウロコでした。もう受験ノウハウはネタ尽きたので、事例Ⅳをはじめ、Ⅰ~Ⅲのヒントになるかもしれないので、よもやま話的にさせて頂きます
☆経営計画は誰のため?
飲食店を専門とする先生の講義です。起業した飲食店の経営計画を立てる7つの手順は以下の通りだそうです。
⓪ 現時点の財務諸表を整備する。
① 5年後の目標B/Sを設定する。
② 5年間で内部留保するべき純利益合計を算出する。
③ 1~5年目の各年の純利益目標(P/L)を決める。
④ 各年の目標の売上高と原価率、人件費や固定費を決める。
⑤ 売上目標を客数・客単価に分解する。
⑥ 客数は、席数がだいたい決まっているので目標回転率を決める。
⑦ 客単価は、目標売上高÷客数で逆算して、目標値を決める。
次に非財務的側面から、財務目標を実現する有効なオペレーションを考えていきます。例えば、店が混む時間帯に料理の提供が遅れて回転数が上がらないのであれば、調理時間の長い「焼き物」ではなく、油で揚げるだけの「揚げ物」。さらに、前日に仕込できる「煮物」のメニューを充実させ客単価と回転両面から考えます。オペレーションの助言はとても具体的です。事例Ⅱ、Ⅲは、具体的な解答が良しとされる理由かもしれませんね。
☆ポイントは見せる相手!
経営計画(財務的側面)に戻りますが、一般的に経営計画立案では、③の利益目標から決めていきそうな気がしますが、中小企業は違います。大多数の中小企業にとって、経営目標数値を見せる相手は、企業の成長を期待して株を買ってくれる「株主」はおらず、資金を貸してくれる「銀行」だけ、であるためです。
そのため、経営計画は、店主のこだわりメニューが大当りして大儲けして株価急騰&配当ガッボリなんてどうでもよく、ズバリ「借金を返せるかどうか」を知りたい訳です。具体的には、自己資本比率を改善していく計画でなければ、融資を受けることができないのです。その根拠として、投資した店舗・什器などへの投資が適切に利益を産み出しているのか?(有形固定資産回転率など)、結果として利益が上がっているのか?(売上高経常利益率など)が裏付けとなる指標となります。
☆経営計画を見せるという観点から
この低金利時代にNPV計算なんて必要なの?
コンピュータでシュミレーションすれば良いのにディシジョンツリーが必要なの?
・・・と思いますが、要するに「お金返せるかい?」という観点で見れば、減価償却費など非資金費用や運転資金の増減を調整した営業キャッシュフローやFCFにわざわざ直してNPVが議論されるのはこのためなのだ・・・
経営計画を銀行に説明する上で、事業リスクを織り込んでいることをアピールする手法としてディシジョンツリーがあるんだ・・・
と思えば、少しは理解の役に立つでしょうか?
☆財務諸表を見るポイントは
- 中小企業では、大企業よりもキャッシュフローが大事。
- 貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)とキャッシュフロー計算書(CF)を一体で考えること
象徴的な設問として、H29年事例Ⅳでは、連結損益計算書(P/L)の見方を問われました。簿記検定の勉強経験者なら、あれっ?と思うかもしれません。連結決算の簿記2級での設問は通常は貸借対照表(B/S)の連結から出題されることが多く、損益計算書(P/L)の連結を扱う問題にはあまり馴染みがないのではないでしょうか?(私は、全国経理教育協会派なので違ったらごめんなさい。)
私も80分間の本番では、非支配株主とのD-a社の利益分配にまで気が回りませんでした。周りの大半の受験生もそうでした。たまたま、道場仲間と会話しても、「P/Lの連結ってノーマークだったよね~」と同意見があり、簿記検定試験との違いがよく表れた問題、診断士試験らしい設題だったのではないでしょうか。B/Sの連結だったら、解けた人は多かったかもしれませんね。ここは、連結決算の知識を問うたのではなく、3つの計算書を一体に理解していることを問われたのだと思います。
そこで、ご紹介したいのは、中小企業経営者に最低限知ってもらいたい財務演習問題として、私の所属する協会の財務担当の大先生から伝授頂いた課題です。(ダウンロード)
注)一部誤りがあり、10/1(月)1620にファナルを差替ました。
簡単な課題ですが、3つの財務計算書間の関係がよく分かります。これが、中小企業の経営者に必要とされる財務諸表の読み方だそうです。余裕があれば、この課題の会社が、設備を取得して、減価償却費がある場合を考えてみてください。そうすれば2次試験直結の問題に早変わりです。
事例Ⅳでは、「中小企業診断士として助言せよ」は、あまり出てこないフレーズですが、銀行に説明できるように助言せよと言い換えれば、なるほどね・・・じゃありませんかね?経営者と銀行の間に入るのが診断士ですから。
以上、よこよこでした。