【渾身!論点シリーズ】不正競争防止法、最低ここだけ!(経営法務)

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おはようございます。zenzenです。
「渾身!論点シリーズ」と銘打った各メンバーの力のこもった記事に圧倒されていますが、非力ながら私もこのシリーズに参加させていただきます。敢えて苦手な経営法務を選んでみましたが、詳しく解説すると言うよりも苦手な方向けに最低限どこまでやるか、という視点でお送りします。

経営法務については既に9代目でもいくつか記事が出ていますね。
よこよこのこの記事やへんりーのこの記事とか。
昨日のきゃずのこの記事でも法務関連の記事が紹介されています。
経営法務の王道と言えばやはり会社法と知的財産権。
優先順位としてはそちらを上にするべきですが、今回は不正競争防止法。出題頻度がそれなりに高いと考えたからです。

直近7年の出題実績はこの通り。
H29・・・第13問で出題。正答率ランクはE
H28・・・第11問、第12問で出題。正答率ランクはそれぞれDとA
H27・・・第9問で出題。正答率ランクはD
H26・・・第6問で出題。正答率ランクはC
H25・・・出題なし。
H24・・・第10問で出題。正答率ランク手元にありません。スイマセン。
H23・・・第10問、第14問で出題。正答率ランク手元にありません。スイマセン。

(※正答率ランク・・・だいまつのこの記事で紹介されていますが、TACデータリサーチでの正答率による分類を指します。Aが簡単、Eが難しい)

H25年以外毎年出ていますが、正答率低めです。基本的な内容だけは抑えておいた方が良さそう、というところでしょうか。
個人的にはポケットブックの内容で十分だと思います。
どの程度かと言うと、こんな感じ。

不正競争防止法の対象となる商品等表示
1. 氏名
2. 商号
3. 商標
4. 標章
5. 商品の容器もしくは包装
6. その他の商品または営業を表示するもの

6つ丸暗記しなくても、「商品または営業を表示するもの」が対象とだけ考えると良いかも知れません。

そして不正競争防止法の類型として9種類。

1. 周知表示混同惹起行為

2. 著名表示冒用行為
フリーライド(ただ乗り)
・ダイリューション(希釈化)
・ポリューション(汚染)

3. 商品形態模倣行為(デッドコピー)
発売から3年までは保護対象

4. 営業秘密(トレードシークレット)に係る不正行為
秘密管理性・有用性・非公知性

5. デジタルコンテンツ技術的制限手段の無効化行為

6. ドメイン名不正登録行為

7. 商品や役務の品質・内容などの誤認惹起行為

8. 信用毀損行為

9. 代理人等の商標冒用行為

これも問題になりやすいのは1から4ぐらいでしょうか。

項目だけを並べましたが、(内容の解説をするとめちゃ長い)詳細はテキスト等で確認して下さい。
分からないところをポケットブックに書き込んで繰り返すことで定着率は上がるはずです。

では、難易度別に過去問を確認してみましょう。

まずはAランク問題(正答率80%以上)から。

H28年第12問
以下の文章は、不正競争防止法上の営業秘密に関するものである。文中の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

不正競争防止法上の「営業秘密」に該当するためには、「秘密管理性」「A」および「B」の3つの要件を満たすことが必要である。
この秘密管理性があるというためには、その情報に合法的かつ現実に接触することができる従業員等からみて、その情報が会社にとって秘密としたい情報であることが分かる程度に、アクセス制限やマル秘表示といった秘密管理措置がなされていることが必要である。
また、「A」の要件は、脱税情報や有害物質の垂れ流し情報などの公序良俗に反する内容の措置を、法律上の保護の範囲から除外することに主眼を置いた要件であり、それ以外の情報であれば「A」が認められることが多い。現実に利用されていなくてもよく、失敗した実験データというようなネガティブ・インフォメーションにも「A」が認められ得る。
さらに、「B」があるというためには、合理的な努力の範囲内で入手可能な刊行物には記載されていないなど、保有者の管理下以外では一般に入手できないことが必要である。なお、例えば「C」目的で、詐欺行為又は管理侵害行為によって、営業秘密を不正に取得する行為等は営業秘密侵害罪を構成しうる。

ア A:適法性  B:新規性  C:営利
イ A:適法性  B:非公知性 C:営利
ウ A:有用性  B:新規性  C:図利加害
エ A:有用性  B:非公知性 C:図利加害

営業秘密の要件である「秘密管理性」「非公知性」「有用性」が頭に残っていれば瞬殺ですね。頭に残っていなくても文章を追えば正解を選べそうです。
聞きなれない言葉は「図利加害」だと思いますが、そんなことは気にせずとも選択肢AとBだけで正解は導けます。Aが有用性、Bが非公知性なので正解はエとなります。
楽勝でしたか?

そしてCランク問題(正答率40%以上60%未満)を。

H26年第6問
不正競争防止法の商品等表示に含まれないものはどれか。

ア 学校法人の名称
イ 化粧品について、「尿素」「ヒアルロン酸」等の成分表示
ウ 商品の包装
エ 俳優の芸名

「商品等表示」とは「商品または営業を表示するもの」で、それを見れば何処の誰が関わっているのか識別できるものということですね。「他の商品や営業と識別出来るかどうか」だけ考えれば良いかと。
「尿素」「ヒアルロン酸」と化粧品に成分表示されていても、誰が製造販売しているのかは分かりません。よって、含まれないのはイとなります。

凄く難しいという印象では無いですが、この問題はCランクですから、約半数の方は間違えていることになります。私らしく、「自分ならどう間違えるだろうか」を考えてみました。(的外れだと思われた方、ご容赦ください)
ア 学校法人は商売をしている訳じゃないから、そもそも商品等表示にあてはまらないと考えてしまう。
→学校法人と言えども広く経済主体として事業を行っていますから、商品等表示に当てはまります。
ウ 「商品の包装だけでは分からない」と考えてしまう。
→あまり良い例ではないかも知れませんが、例えば百貨店の包装紙で識別していることはあるのでは。
エ 「氏名」が商品等表示に含まれることを知っていても、「芸名」は「氏名」に含まれないと考えてしまう。
→芸名が表示されていれば誰であるかは識別できますね。

この問題、過去問の解説を見ると実際の判例(青山学院事件・うるおいウォーター事件・高知東急事件)が紹介されているのですが、別にそれを知らなくても「商品等表示」の意味さえ理解しておけば何とかなりそうです。繰り返しますが商品等表示は「識別できるかどうか」がポイントです。

ここまではポケットブックの内容で解ける問題ですね。
(というよりポケットブックがABCランクの問題をベースに掲載内容を決めている可能性がありますが。)

では、D問題(正解率20%以上40%未満)になるとどうなるか?

H28年第11問
不正競争防止法(以下、法という)に規定する商品等表示に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢中の「周知表示混同惹起行為」とは法第2条第1項第1号に規定する行為をいい、「著名表示冒用行為」とは同第2号に掲げる行為をいう。

ア 高級車ブランドとして知られるA社の著名な自動車に関する商品表示を、Aと無関係の者であるBがサングラスに付して販売している。この場合、Bの行為は、著名表示冒用行為となると考えられるが、周知表示混同惹起行為となることはない。

イ 製菓メーカーC社のポテトチップスの表示甲が普通名称化し、取引者・需要者間で普通名称として用いられるようになった場合、この普通名称化の前に既に表示甲がポテトチップスを表示するものとして著名であるときは、当該表示を普通に用いられる方法で使用する行為は、著名表示冒用行為となる。

ウ ピザの宅配業者であるDの営業表示乙は、現在ある地域で周知である。表示乙が周知化する前から、Dと同一地域でピザの宅配業者Eが表示乙と類似の表示である丙を使用しているという事実がある。この場合、Dは、Eによる丙の使用に不正な目的がある場合でも、Eによる丙の使用を差し止めることができない。

エ ヨーロッパの世界的アパレル・ブランドである企業の著名な商品表示を、スナックGがわが国の地方都市の郊外において商号として一店舗のみの看板などに用いている。この場合、FG間に競争関係はないものの、周知表示混同惹起行為となることがある。

やはり難易度が上がった感がありますね。
苦手なりに少しだけ説明してみます。
因みに正解はエです。

ア 周知表示混同惹起行為と著名表示冒用行為の関係を理解しているかどうかが問題。
著名表示冒用行為が成立するより周知表示混同惹起行為が成立する方がハードルが低いというイメージがあれば回答から外せるかも知れません。

イ 普通名称化という概念を理解しているかどうかが問題。
「識別」という言葉を何度も使っていますが、普通名称化とは識別機能を失うということなので、商品等表示ではなくなります。よって不正競争防止法の対象から外れます。

ウ これは知識がなくても外せそうです。一般的な感覚として、不正な目的があったら差し止めできないと困りますね。何のための不正競争防止法かと。

エ これが正解ですが、個人的には少し違和感がありました。例えば田舎にスナック「グッチ」があったとして、関係あると思う人いるのかな・・?という感覚が強かったのですね。
周知表示混同惹起行為は混同のおそれも含む、ということからこの選択肢を選べるかどうか。私には少し難しいですね。
これも「スナックシャネル事件」という結構有名な判例があるようです。(私は知りませんでしたが)この判例を知っている方なら迷わず正解を選べたのかも知れません。

ランク別に3問並べてみましたが、いかがでしょうか。
余裕ですか?そうでもないですか?
経営法務が得意な方、余裕のある方は掘り下げると得点源に出来ると思いますが、そうでない方でもポケットブック程度の知識でそれなりに戦えるはずです。
会社法・知財の王道論点はきっちりカバーしつつ、やや傍流ですが頻出のこの論点も最低限押さえておくことが出来れば、そう悪い結果にはならないと思いますよ。

1次試験まで残り80日を切りましたが、焦らず重要論点を一つづつ積み上げれば、手が届くところまで辿り着けます。辿り着きましょう。

 

以上、zenzenでした。

参考
<最速合格のための要点整理ポケットブック 第1次試験2日目>
TAC株式会社編著

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